65.Again And Advance
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金色の瞳。
長い髪を切って捨てれば、その身長も顔も声も何もかもがオーネストと似すぎていた。
と――背後から声。
「黒竜だろう」
「オーネスト………?君は、もう動けるのか?」
「どうでもいい」
『黒竜』とオーネストが、向かい合う。
金と黒、鏡合わせのようであり、対照的な光景。
「答えは簡単だ。アイズは『繭』を破ったが『魔石は壊していない』。そして黒竜は俺との戦いで微量ながら俺の血を――忌々しい神の因子が混ざった血を浴びた。あとは発想の転換……『繭』によって体を小さく出来るし存在しなかった器官を作り出せるのならば、『竜の形をやめる』ことも可能。俺に似たのは、俺の因子を起点に肉体を再構築したからだ」
黒竜――いや、もはや黒竜とは呼べない存在となったそれは、オーネストを見て目を細める。
「ついでに黒装束共の魔石を吸収して力の回復も済ませてある。違うか?」
「矢張り貴様は他とは違う。力も、知能も」
「肯定と捉える」
人間サイズにまで凝縮された、不倶戴天の天災。
人の大きさの怪物――全く未知の魔物。
1000年の長き刻を経て、異端児とも新種とも異なる可能性の顕現。
「人間の可能性を探りたくなった。その為ならば竜の姿を棄てよう。古き衣を脱ぎ捨て、ちっぽけなひとつと成り果てよう。さぁ、人間――神が見出した、神の模造品。貴様らの可能性を――貴様らの内から湧き出す力の正体を、我に見せてみよ」
黒竜人――三度衣を脱ぎ捨てて、四肢を変じさせ新たな五蘊を得んとする存在。
ダンジョン最古にして最新、そして最強の矛が人類の喉元に刃を向けた。
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