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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
65.Again And Advance
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リヴァスが素早く体を回転させ、次の瞬間ユグーの顔面が地面に叩きつけられる。恐ろしい速度の踵落としを脳天に受けたのだ。ユグーは気にせず顔を起こし、もう一撃脳天に衝撃を受けて再び叩きつけられる。

「貴様に構っている暇はないのだ。とうとう彼女は力を与えたもうた。お前にわかるか?この力――『神殺しの黒』!!忌々しき女神の生き血を啜ってたまたま手に入れた力を振りかざすあの愚か者を――神の力に頼るだけの地上の愚者の代表を屠る時が来たのだ!その手始めに、まずはその傲慢な男の親友を名乗る疫病神を縊り殺す!」
「貴様、思っタヨり馬鹿だな」

 素直な感想を言うと同時に、もう一度頭を凄まじい力で踏みつけられ、顔面が岩の地面に埋まる。瞬間、自分の頭の上に確実にある足を掴み、握り潰すつもりで握ったユグーは起き上がりながらそれを振り回し、目の前に叩きつけた。
 オリヴァスの体が岩に埋まるが、瞬間的に掴まれていないもう片方の足でユグーの手が蹴りつぶされ、オリヴァスは拘束から脱して距離を取る。下手な冒険者なら頭が潰れて目玉が千切れ飛ぶ力だったが、オリヴァスは再生力だけでなく防御力も格段に向上しているらしい。

「馬鹿。貴様に馬鹿などと言われる日が来るとは思わなんだ。俺のどこが馬鹿だと?」
「オーネストの力は神の力だト思ッている。愚カ、実ニ」
「事実だ!!」

 オリヴァスの黒く染まった顔面は、恐らく生身ならば怒りで真っ赤に染まっているだろう。唾を飛ばす権幕の叫び声は、唯の人間が聞けば鼓膜を突き破る音量だった。子供の癇癪だ、とユグーは思った。

「奴の異常な成長性は!!奴の異常な生命力と再生能力は!!奴が黒竜との戦いで見せた魔法の異常性は!!奴の容姿も立場も全て全て全て神の力があったから可能だった事だろうがッ!!愚かしく汚らわしく無知蒙昧な神の黴臭い絶対者主義の傲慢さが生み出したのがあれだ!!オーネスト・ライアーだ!!」

 実に下らない、白ける言葉だった。ユグーはそんな経験はなかったが、今ならば哀れみという感情を学習できる気がした。この男は何も分かってはいない。オーネスト・ライアーという男がどれほど凄まじい男なのかが分かっていない。

「ナメた黒野郎だ。オーネストが神の力だか何だか知らねぇが、たかがその特別な力とやら一つがなくなった所であいつの強さが揺るぐものかよッ!!」
「オーネストにとってむしろ特別な力は邪魔だった!!そんなことも理解できない馬鹿はやっぱり人間じゃなくて魔物だ!!」

 ユグーの意思を代弁するように、別の黒装束を仕留めたロキ・ファミリアの人間――ベートとティオナが不愉快そうにオリヴァスに攻撃を仕掛ける。巨大な剣と双剣。どちらもオリヴァスには及ばず躱され、カウンター気味に弾かれて後方に飛びずさる。実力はオリヴァスに及んでいない
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