65.Again And Advance
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のない戸惑いを抱き続けている。それは理性とも本能とも違った場所からユグーの姿を見て、疑問を呈する。その疑問の形もわからないまま戦っているのは、ユグーの意思と流れ込んだ意思が折衷するものだったからに過ぎない。
流れ込んだ意思は、ユグーの認知しない何かを知っており、ユグーの認知しない思考と法則の下に何かを為そうとしている。警戒していると言ってもいい。では、警戒しているそれとは何か――それを確かめる為にユグーは黒装束に仕掛けた。
そして、確信を持つ。
(こヤツら、ではナい)
確かにこの黒装束は凡百の者とは比べ物にならぬ程の力としぶとさを持っている。しかし、そのどれもが力を万全に出し切っていない。御するべき力を御せていないのだ。それも馬鹿げた再生能力の前には些事だと思っているのかもしれないが、ロキ・ファミリアもその事実に気付いたのか次第に黒装束に対して攻勢に出ている。
視線の先ではせいぜいがレベル5程度の若者たちが黒装束を転倒させ、魔石を確実に砕いている光景が見えた。魔石の破壊と同時に絶叫した男は逃げるように走り出し、未だに残る溶岩の中に墜ちて消えた。
弱い――このまま続ければ、黒装束は全滅する。一部は力を御し始めていたり岩盤を砕いて溶岩を利用するなど攻撃の手を緩めない者もいるが、ここを血戦の地と定めているのならばいずれ負けて死ぬだろう。彼らは意識していないだろうが、オーネストは鎖の中で次第に体力を回復させている。
刹那、黒装束の一人がユグーの考え事を妨害するように蹴りを放つ。拳で払うと、衝突時にズガンッ!!と巨大な質量が衝突したような衝撃が奔る。これまでの雑魚と違ってそれなりに出来るな、と思いそちらを見ると、どこか見覚えのある顔だった。
「お前は……確か、オリバだったカ?」
「オリヴァス、だ。相変わらず物覚えの悪い木偶だよ、貴様は」
「そウ、オリヴァス。俺を闇派閥に引キ込ンダ男。流石に雑魚とは違う……」
「貴様はつくづく俺の精神を逆撫でする。闘争が欲しいというから誘ってやれば行方をくらまし、久しぶりに会ってみればあの忌まわしく汚らわしいオーネスト・ライアーとつるんでいるだと?貴様は何なのだ?」
「知らヌ。戦え」
拳と拳が再度激突。僅かに体が押される。腕力ではない、嘗てより格上との相手と幾度となく戦闘を繰り広げ続けてきた武闘派のオリヴァスの実力はユグーも認めるが、それに加えて黒化の力によって本当にレベル7に匹敵する実力を得たらしい。
強い。だが――それだけだ。黒竜と比べるとあまりに粗末でちっぽけな脅威。出来てせいぜいが数人の死人を出す程度。あの白昼夢語った「人間の為だけの秩序」とやらの脅威になる程の力かと問われれば否。よくてもオーネストが戦えるようになる前には仕留められる程度の力だ。
オ
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