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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
65.Again And Advance
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ルは、男の体を両断するつもりで切り裂いた。黒竜の首さえ切断した一撃に近い威力だ。しかし男は両断されず、その傷は再生している。二人掛かりとはいえ一度は自らを押し込んだ筋力、斬撃の威力を半減させるほどの耐久力、そしてダメージを感じさせない超速再生能力。ただ魔物化した人間程度の力を遥かに超えている。

《――『魔王』ちゃんの力ね》
「フレイヤ様……」
《神に対する強烈な殺意と敵対心の為せる業。仕組みとしては神がファミリヤに施す成長制限解除から更に踏み込んだ物……神を殺す為の力の欠片の欠片。簡単に言うと強制レベルアップね。それも人間換算で3は上がってるかしら?》

 フレイヤの声は、ご機嫌とも不機嫌とも言えない平坦な声だった。別段オッタルが負けるとは思っていまい。だが、単純な能力値がレベル7に近い人間が十数名も現れての乱戦。ロキ・ファミリアが来たはいいが、この状況で戦えば犠牲を出しかねない。

 ロキ・ファミリアの最優先救出目標であるアイズはリージュと共にどうにか猛攻を防いでいるが、既に魔力を切らせたリージュでは決め手に欠け、実戦経験とステイタスで劣るアイズはリージュの足手まといにならないよう敵をいなすので精一杯だ。オーネストに関しては戦えない筈――。


「阻めよ、(ガナン)……!!」


 ギャララララララララララッ!!と金属の擦れ合う音を立て、オーネストとアズのいた場所に膨大な鎖が出現し、黒装束の攻撃を防ぐ。その鎖の音を聞いたフレイヤが物凄く小さな音で舌打ちしたのが聞こえたが、聞こえなかったことにする。
 『選定之鎖(ベヒガーレトゥカー)』。神さえ恐れる堅牢なる鎖の出現とは、それそのものがアズライールという男の覚醒を意味している。鎖の中から緊張感のないダレた声が漏れる。

「うごぉ……これ、ちょっ、駄目だ全然密度出ねぇ……一応前はサバトマンの攻撃防げたけどこれわっかんねぇぞ……」
「なんだ、目を覚ましたと思ったら使えねぇ。帰ったら一度鍛え直してやるからそのつもりでいろ」
「そういうお前も動いてねぇじゃねーか!」
「戯け。神殺しの竜血を浴びて命がある方がおかしいのだ。あのクソ竜め……道理で力が出ん訳だ。あれは相手を燃やす血ではなく、『神を焼き尽くす為に一からそうあれと作られた力』だった」
「ふーん。じゃあ普通の奴が浴びたらファミリア契約切れたりすんのかな?」
「それより先に魂が燃え尽きるだけだ」

 平常運行すぎるほど平常運行な上に黒竜の凄まじい秘密にサラッと気付くオーネストと、死の淵を彷徨っていた癖に相変わらず暢気なアズの復活。どうやら戦力的にはまだ充てに出来るものではないらしいが、彼らの態度によって戦場で巻き起こる変化は劇的だった。

「やっぱり生きてやがったか、オーネストぉ!!よっしゃ、こうしちゃいられ
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