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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
65.Again And Advance
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 人間――忌まわしい人間、神の劣化模造品。

 何故貴様らは戦う。何故貴様らは命を賭して我等に立ちはだかる。

 そのちっぽけな体にどれだけの可能性を秘めて、貴様らは戦士となる。

 何故神々は、貴様らのような欠点だらけの生物に力を与え、我等と戦う先兵とする。

 ――貴様らは何を求めて此処に至り、何処へ向かおうというのか。

 それは、或いは迷いだったのかもしれない。

 故に――。

 故に――。



 = =



 フィンたちかどうにか60階層に辿り着いた時、そこは予想だにしない状況を目にする。

「なんだこれは、黒い人間……!?」

 無数に入り乱れる黒い人間たちの腕、足、剣。まるで狼の群れが羊を蹂躙するかのように荒々しい攻撃が縦横無尽に吹き荒れ、黒竜との戦いに生き残った勇者たちを食い散らそうとしていた。

「ぬ、う、う………ッ!!」
「ヒハハハハッ!!押してるぜぇ、俺たちがオラリオ最強をよォッ!!」
「それが宿命ッ!!それが必然ッ!!さぁ惨殺されよ、貴様は古き存在となったのだッ!!」

 二人掛かりで押し込まれる二本の剣を一本の大剣で受け止めるオッタル。最強の猛者に恥じぬ心技体を揃えた彼の体は、凄まじい膂力を上回る破滅的な暴力によって押し込められ、足場が砕ける。同時に背後からオッタルの背を狙う別の黒装束が貫手で迫る。

「……小癪ッ!!」

 しかし、レベル7は伊達や酔狂で得た称号に非ず。瞬時にそれに気付いたオッタルは上半身の力だけで強引に二つの剣を横に跳ねのけ、次の瞬間深く踏み込んだ斬り上げの一撃を背後に叩き込み、そのまま回転して正面の二人にも斬りかかった。
 背後の一人は腕ごと両断されて吹き飛ぶが、正面の二人は剣を盾に後ろに飛んで衝撃を逃がし、生き延びる。その顔には醜悪な笑みが浮かんでいた。

「耐えられる、この体なら!!逆襲できる、この力なら!!いけるぞ、これならフレイヤ・ファミリアの皆殺しさえ容易いッ!!」
「お前たちは『彼女』を本気にさせたんだよぉッ!その報いを自分たちの命で払うがいいさ!」
「………力だけならレベル7クラス、か。それに加え――」

 油断なく剣を構えなおしたオッタルは自らが切り裂いた背後の敵に眼をやる。
 腕から腹にかけて致命傷に近い傷を負った黒装束の肉体は鮮血を噴出させていたが、負った傷が気泡のようにぶくぶくと膨れて蠢いたかと思うと、そこには斬られる前の肉体が再生されていた。僅か数秒での完全回復。魔物でさえあり得ない超再生能力だ。

「ゲッグ………カァ、ハはは………どうした猛者、さっきのそれは攻撃か?温いなぁ……哀れだなぁ……俺たちのような力を与えられないファミリアってのはぁッ!!」
「………………」

 オッタ
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