乙女の章
].Chorale(Ich freue mich in dir)
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よ、その楽士達がこの者らより劣る場合、汝は我を偽った罪で流刑にする。その覚悟があればいつなりと来るがよい。」
ハンスはそう言うや直ぐに外方を向いてしまい、流石のヴィンマルク卿もこれには慌てふためいた。
いかに教会で地位があろうとも、大司教以外では国王に逆らえるほどの権限なぞない。ここでハンスを敵に回すと、下手をすれば破門されかねないのである。
それをスティーヴンスが横目で見て笑いを堪えていたが、そうしている間に最後の演奏が始まった。
これはシュカが三年を費やして仕上げたもので、作品はカンタータであった。
内容は、合唱-レシタティーヴ-アリア-レシタティーヴ-合唱-レシタティーヴ-アリア-レシタティーヴ-合唱の九曲から成り、当時としては珍しく自由詩を使ったアリアは、国王ハンスですらも驚かせた。
この形は、現在では一般的であるが、当時としてはかなり奇抜なものであった。それゆえ、この形式のものを劇風カンタータと呼ぶことさえあったのである。
このシュカのカンタータは、後世に活躍したレヴィン親子に影響を与えたことでも知られている。
このカンタータを聴いた大司教は感激のあまり、シュカにこのカンタータの楽譜を譲り受けたい旨を伝えたと言われ、現在はコロニアス大聖堂(旧セレガ大聖堂)にこの楽譜が残ってはいるものの、紙質悪く、その上風化が激しくて大半が読み取れない状態であり、実質復元は不可能である。後世の筆写譜はあるものの、これらは間違いが多く参考にはならない代物であるため、その曲を耳にすることは出来ない。
さて、演奏が終わった後、大司教と国王ハンスは星昇の儀式を見届ける者を選出した。
大司教は五人の司教を選び出し、その中にはあのヴィンマルク卿も入っていた。国王ハンスはスティーヴンスに元老院最長老のルカ、そして貴族院からはその長であるマーティアスを選んだのであった。
さぁ、この章も終りが近付いてきたようだ。
演奏の翌日、シュカは聖所から泉へと歩み始めた。
聖所からは二人のシスターが、香炉に乳香を焚きながらシュカの後ろに付き従っている。
泉には既に選出された者達が静かに待っており、その中には無論、書簡を交わした国王ハンスもいた。
しかし、シュカは何故か不思議と安らいだ気持ちであった。
- これが、神の御業というものかしら…。 -
シュカは心の中で呟いた。
空はどこまでも透る青空で、太陽の陽射しは全てを祝福するかのように大地へと降り注いでいる。鳥は自由に歌い、風は木々の間をすり抜けてどこまでも遠くへと遊んでいた。
シュカはその中を歩み、泉のほとりへと辿り着いた。すると、シュカはそこで跪き、神への祈りを捧げ始めた。
シュカの背後には二人のシスターが立ち、香炉を足元に置いて讃美歌を歌っていた。香炉
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