乙女の章
\.Gigue
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瞬く間に月日は過ぎ去り、七年に一度の儀式が後三月と迫っていた。
トレーネの森の教会では、シュカが聖所へと入れる様に準備が着々と進められていたが、ハンス王からの書簡は相変わらず届けられていたのであった。
そんなある日のことである。三人の神父達がセレガの街へと赴いていた。それは、乙女であるシュカを大聖堂へと連れてきて、そこで音楽を奏させるための談判である。
七年前にラノンにしてやれなかったことを今度こそはと、三人の神父達は死を覚悟で赴いたのであった。
その少し前、同じ様な考えを持った二人連れが王都を出て、セレガの街にある大聖堂へと急いでいた。
その二人連れとは、王のハンスと側近のスティーヴンスである。二人は馬を走らせ、冷たい風の吹き荒ぶ中を走り抜け、途中で馬を休ませるべく幾度目かの休憩を取った。
馬に河原で水を飲ませている時、スティーヴンスがハンスに言った。
「本当に宜しかったのですか?この時期に城を開けるのは、やはり…」
「いや、今でなくてはならないのだ。それ故に元老院と貴族院を説得してきたのではないか。この法を施行すれば、必ずや教会が黙ってはいないだろうから、こうして来たのだ。」
ハンスも馬に水を飲ませながら、心配そうなスティーヴンスに答えた。
だが、教会がどう動くかなぞ見当もつかないことであり、この旅路でスティーヴンスは幾度も質問してハンスを困らせた。
「お前の言いたいことも解るが、これは両院で可決されたのだ。教会が行ってきたことに関しては、元老院は特に疑問を持っていたからな…。」
「しかし…」
「これ以上の問答は無用だ。」
王であるハンスにこう言われては、さすがのスティーヴンスも最早口を閉ざすしかなかった。スティーヴンスが黙ったことを確認し、ハンスは馬を水辺から引き離して飛び乗った。
「先を急ぐぞ。」
ハンスに言われ、直ぐ様スティーヴンスも馬に跨がり、そのまま二人は馬を走らせてセレガの街へと急いだのであった。
辺りには枯れ葉が寒風に舞い、日はその温かさを失ったかのようなか弱い光で照らしていた。
もう少しで目的地である…。
「それはならん!!」
セレガ大聖堂の一角にある大司教の部屋より、雷のような怒声が轟いた。
声の主は大司教ではなく、時期大司教と目されているヴィンマルク卿ネッセルであった。
「そう声を荒げるでない。」
部屋の主である大司教が言った。だが、ヴィンマルク卿は耳を貸さず、続けて喚きたてた。
「しかし大司教。トレーネの乙女が森を出るなぞ、有り得てはならぬことですぞ?そのようなことを許可したともなれば、それこそ神への冒涜と…」
「黙りおれ!それは汝が決めることではない!」
大司教は到頭腹に末かねてヴィンマルク卿を怒鳴ったため、さすがのヴィンマルク卿も恐れを
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