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SNOW ROSE
乙女の章
\.Gigue
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なし、渋々と口を閉ざさざるを得なかったのであった。
 今ここで大司教と争えば、この後の運命すら変わる恐れがあったからである。
 静かになったヴィンマルク卿の前には、トレーネの森から赴いてきていた三人の神父が立っていた。
 その三人の神父達に大司教が言った。
「煩くてすまぬな。そのことはわしも考えてはおったのだ。だがの、民と他の司教達を説得するのは容易ではないのじゃ。ゲオルク神父の時もそうであったが、時期尚早と言えようぞ。」
 この大司教の言葉に、ヴィンマルク卿はニヤリといやらしい笑みを溢した。しかし、それで黙って引き下がる神父達ではない。
 七年前、今は亡きゲオルク神父も破門されかけるまで根気強く説得を試みたのである。ここで引き下がるという選択肢は無いも同然と言えた。
 そこでヴェルナー神父が大司教へと言った。
「畏れながら、大司教様。聖文書だけでなく、わが教会に伝わるグロリア書、またそれよりも古き聖ブリセの予言書にすら、乙女が森の外へと出てはならぬとは書いてありませぬ。」
 ヴェルナー神父の言葉に、直ぐ様反応を示したのはヴィンマルク卿であった。
「黙れ!たかが神父の分際で聖句を勝手に解釈しようなぞ…」
「ヴィンマルク卿、汝は外へ出ておれ!」
 またもや口出ししたヴィンマルク卿は、大司教に怒鳴られて部屋を追い出されてしまったのであった。
 あまりにも大きな大司教の声に、三人の神父達は兎も角、怒鳴られたヴィンマルク卿は顔を蒼くし、逃げるように部屋を後にしたのであった。
 ヴィンマルク卿が外へと出て行った後、大司教は溜め息を洩らして三人の神父へと言った。
「汝らの言い分は解るのだが、教会の教義は長い年月を掛けて築かれたもの。それを簡単に変えるわけにはゆかんのじゃよ。」
「それでは…逆はどうなのでしょうか?」
 大司教の答えに、今度はマッテゾン神父が問った。それを聞いた大司教は、その目を丸くしたのであった。
 要は、出てこれないのであるならば、聴き手を招き入れるというのは許されるのではないかと言うことである。
「馬鹿な!あのトレーネの森は聖域ぞ?邪な心を持つ者を迷わせるのだ。危険であろうが!」
 大司教の言葉は尤もである。それ故、三人目のトマス神父が待ってましたとばかりに言葉を足したのであった。
「御安心下さい。お招きするのは司教様方と国王であらせられるハンス様、それに大司教様ですので。」
「な…!?」
 開いた口が塞がらないとは、まさにこのことであった。
 もし仮に、一人でも司教が迷うようなら教会の威信に傷が付き、それ以上に断りでもすれば、この大聖堂に邪な心を持つものがいると言っているようなものなのである。
 二者択一。どちらにしようとも神父達の勝ちと言うわけなのであった。
 静かに大司教が考え込んでいるその中
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