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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
オスカー・フォン・ロイエンタールの誓い
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帝国暦 486年 5月15日 オーディン 軍務省 尚書室 グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー
「それで、どうなのかな、軍務尚書」
「ミューゼル大将は軍法会議を希望していたようだが、昨今では頭を痛めているらしい」
三月中旬、クロプシュトック侯による爆弾事件が発生した。クロプシュトック侯がフリードリヒ四世陛下の暗殺を図った事件であるがそれは失敗に終わった。
ただし大勢の貴族が爆死し、また犯行場所がブラウンシュバイク公爵邸であったため、討伐軍はブラウンシュバイク公を総司令官とした正規兵と貴族の私兵の混成軍で行なわれた。反乱そのものは鎮圧に約一ヶ月もかかるという醜態を晒した。
貴族たちが勝手な行動を取り、指揮が混乱、言わば烏合の衆と化したせいなのだが、ようやく鎮圧したと思った時点で事件が発生した。ある大尉が略奪行為を行い、それをある少将がその場で射殺した。
法的には問題はない。しかし射殺された大尉がブラウンシュバイク公の遠縁に当たり、射殺した少将が平民である事が事態を紛糾させた。怒ったフレーゲル男爵がその少将を密殺しようしたのだ。
だがその少将には親友が居た。彼はむざむざと親友を殺されるつもりはなかった。彼はラインハルト・フォン・ミューゼル大将に助けを求め、ミューゼル大将はそれに応え、その少将、ウォルフガング・ミッターマイヤーを助けている。ミューゼル大将はミッターマイヤー少将の行為の正当性を訴えるため軍法会議の開催を望んでいたのだが……。
「ミッターマイヤー少将の弁護につくものがおらぬか」
その言葉に軍務尚書エーレンベルク元帥は苦笑した。
「ブラウンシュバイク公を敵に回して弁護を引き受けるものなどおるまい」
「このままでは、法務局が用意した弁護人を受け入れる事になるか」
「うむ……」
帝国暦 486年 5月15日 オーディン ロイエンタール邸 オスカー・フォン・ロイエンタール
家に帰った俺は疲労感に囚われていた。肉体的な疲労からではない、何の成果も上がらない事による徒労感からだ。それでも当てがあるならまだ自分を励ます事が出来るだろう。しかしどうにも当てが見つからない。疲労感は募るばかりだ。
皆ブラウンシュバイク公を、リッテンハイム侯を恐れている。ミッターマイヤーの弁護を頼もうと思っても後難を恐れて逃げてしまうのだ。これほどまでに彼らが恐れられているとは思わなかった。どうやら俺の認識が甘かったらしい。
このままでは法務局の用意した弁護人を使わざるを得なくなるだろう。その結果は見えている。彼らは碌な弁護をしないだろう。コルプト大尉の射殺はミッターマイヤーの恣意になりかねない。
最悪の場合ミッターマイヤーが略奪行為を行い止めようとしたコルプト大尉を射殺した、そん
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