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SNOW ROSE
乙女の章
[.Bourree
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葉を紡いだ。
「ねぇ、シュカ…。それって、私が言うのもどうかと思うんだけど、すっごく想われてるってことでしょ?それに…この聖グロリア、とっても温かくて優しい目をしてるよ。」
「そう…ねぇ…。」
 ドリスの言葉に、シュカは呟くように答えるのがやっとであった。

- 好き…。だけど…行けないもの…。私は… -

 シュカの心は、まるで嵐の如く吹き荒れていた。
 ハンス王の心を受け入れたい自分、それに反するように神への忠誠を誓う自分とが拮抗していたのであった。
 何も喋らないシュカを気にしてか、シスター・アルテが口を開いた。
「シュカ、何か演奏してみては?」
 その語りかけにハッとして、シュカは顔を上げてシスターを見た。
「そ…そうですね…。」
 傍らではドリスが心配そうにしている。どうやら自分の言ったことが、シュカを傷付けたのではと心配しているようであった。
 そんなドリスに優しく微笑み掛けて、シュカは鍵盤に手を触れた。
 クラヴコードよりも強く、澄んだよく響く音。
 そうしてシュカは考えることを止め、鍵盤の上に指を滑らせたのであった。
 その後、シュカはハンス王に礼の書簡をしたため、その書簡に小さな絵を一緒に入れて送ったのであった。
 その書簡に入れられた絵とは、シスター・ミュライに描いてもらったシュカ自身の肖像画である。
 この肖像画は、今はコロニアス大聖堂にて見ることが出来る。一度は大戦の際に消失したと思われていたのだが、新皇暦三十一年に旧ミッシェの村の遺跡から出てきたのである。
 それはツゲで作られた頑丈な小箱にシルクの布に包んで納められており、いかに大切に扱われていたかが偲ばれるものであったという。
 この先、この二人はどうなったか。また、この時代がどう流れたか…。
 さぁ、あと少し語るとしようか…。




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