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おぢばにおかえり
第三十八話 夏になってその十六

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「そこにお姉さんも来てくれてなの」
「一緒に写真撮ったのね」
「そうしたのね」
「そうなの、この時この人青い服だったの」
 ついでに言いますと写真では違いましたがエプロンも着けてお料理も作ってくれました、これもひのきしんです。
「このことを覚えてるから」
「わかるのね」
「ちっち本人は」
「ええ、私はね」
 とにかくわかりにくいですが。けれどです。 
 私は次の日また阿波野君に会ってしまいました、どうしてこの子とは毎日出会うのか。入学してからずっと不思議に思っています。
 けれどその阿波野君にもです、私は従姉の人との写真を見せました。すると。
 阿波野君は見た瞬間にです、私の方を見ていいました。
「先輩黒も似合いますね」
「えっ、すぐにわかったの?」
 私は阿波野君の言葉に驚いて返しました。
「私でもわかりにくいのに」
「わかりますよ、確かに似てますけれど」
 それでもというのです。
「目尻のところやお肌の感じ、あと唇の色が」
「違うの?」
「違いますよ、ですから」
「わかったの」
「はい、そうです」
「そういうことでわかるなんて」
 私自身びっくりでした。
「嘘みたい」
「嘘じゃないですよ、本当にわかります」
「そうなの」
 私自身がわかりにくいのにです、このことには正直驚きました。
「よくわかったわね、私もお姉さんもね」
「わからないんですか」
「ぱっと見だとね」
「僕はわかりますから」
「だからそれがね」
 よくわかるものだと驚いています。
「目元とか違うに」
「それと唇の色も」
「一緒じゃないの?」
 お肌の感じもです。
「全部、あと私実は目が悪くて」
「眼鏡持ってますよね、赤の縁の」
「何で知ってるの?」
「付けてる時見たことありますから」
「何時見たのよ」
「この前に校内歩いておられた時にたまたま」
「いや、たまたまって」
 そう言われてもです、私の気付かない間に見られているなんて。
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