暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
天然は迷子で、迷子は天然で
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、こうしていないとメール画面が次々更新されて、本命のメールが流されて行ってしまうからだ。

イグシティ、並びに下部のアルンにまで散らばって捜索しているフェンリル隊の面々から上がってくる報告はまるで洪水。追いつくだけで精一杯のそれらを、我らが副隊長は涼しい顔で処理しているのだろう。

そういう意味では、あの地位には彼女以上の人材はないだろう。もっとも、それはヒスイ自身にとって否定したいことなのかもしれないが。

とはいえ。

「うぅん、ここまで人手を駆りだしてるのにまだ捕まらないなんてぇ、かくれんぼの達人さんだったりするんでしょうか〜?」

目撃証言はある。

だが、それは捜索隊の当人達が見たのではなく、第三者からの情報提供だ。時間も正確性も、提供された身として忍びないが、何より真偽が不透明であるその情報をまるまる鵜呑みにするのは、集団を操る上ではいささか危険だ。

しかもそれを信じるにしても、当の迷子ちゃんの出現地点がバラつきすぎている。イグシティ直下の央都アルンで目撃された三分後にイグシティのド真ん中で目撃されているらしいから分からない。

―――転移魔法なんて実装されてましたっけぇ〜?

ネモフィラはまるで見当違いなことをほわほわ考えながら、おとがいに人差し指を添えた。

ともあれ、動かないことには見つかるものさえ見つからない。

むん、と小さく気合いを入れるケモミミ少女は、突如

「ふぁぎゃッッ!!?」

物凄い怪音とともに転倒することになる。

理由は尻尾。

ケットシー族特有の三角耳と尻尾は、もちろん人間には存在しない器官だが、どういう仕組みなのか感覚はある。あまり慣れていないプレイヤーは、いきなり強い刺激を受けると《すっごいヘンな感じ》がするのだ。

たとえば今のように――――思いっきり握りしめられると。

「な、ななな何なんですかぁいったい!?」

身体を起こそうとすると、背中にのしっという、どう考えてもアバター単体の重みではないものが加わる。背中に伝わる丸っこい感触にネモフィラは全身の毛を逆立たせた。

「こ、ここなッ、子泣きジジイッ!?」

「むッ、失礼な!マイはまだぴちぴちだし、そもそも性別からして違うんだよというか仮想世界の中で妖怪とかぷぷぷって笑えると思うんだけど今はとりあえず歩きっぱなしで疲れた身にこの背中は結構いい具合だからちょっと安楽の地にしたいかも定位置にしようそうしようふふーんどうだ胸が密着する大サービスだぞー」

てなわけで背にかかる生暖かい体温の塊が重みを増す――――が、台詞の後半にあったような感触はない。もう薄いのを通り越して、なんかコツコツとした硬さが伝わるだけだ。

だがネモフィラとしてはそんなことはどうでもいい。

背中の
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