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暁ラブライブ!アンソロジー〜ご注文は愛の重たい女の子ですか?〜
ヨーソローを抱きしめて 【凛キチ】
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変わってしまった。



♪ ♪ ♪ ♪ ♪



おっ…そろそろかな。



「おはヨーソロー!!」



16時30分、僕の病室に元気な声が響き渡る。挨拶にヨーソローを使う女の子なんて、彼女くらいのものさ。


「もう夕方だよ、曜ちゃん」


僕が入院してからもう一ヶ月が経った。詳しい病名は伏せるけど、帽子をかぶらざるを得ない病気…って言えば想像がつくだろう。まぁ僕の場合、開くのに邪魔だから刈られたっただけなんだけどね。

医者の話によると、僕の脳内によからぬものができていたらしい。幸い良性だったために、切り取るだけで一応は治った。


だが身体を今までの通りにするにはかなりの時間を要するとも言われた。

そんな訳で今は、ひたすらにリハビリをこなす日々を送っている。歩くだけでもしんどい時があるけどね。


でも、どんなに辛い時でも曜ちゃんと話せば楽になれた。彼女は、自身の周りで起こった出来事を面白おかしく教えてくれた。僕もお返しに、入院生活の中で見てきた様々なエピソードを話した。


……2人だけの時間は最高だった。



その時だけは、水泳選手としての死を忘れられたから。

開頭手術のせいで真っ赤に鬱血した顔を、忘れられたから。

自分がセンスのない帽子をかぶらざるを得ない現実を…忘れられたから。

そんなことを思いながら、僕は「you帽子」を真深くかぶった。



♪ ♪ ♪ ♪ ♪



ある日、彼に一週間の外泊許可が出た。リハビリが順調に進んでいるため、たまには外で羽を伸ばしてこい…との事だ。私たちは一週間ずっと一緒にいた。今までの空白を埋めるかのように。

でも…たった一週間。楽しい時間はとっても早く過ぎていく。あっと言う間に最後の日の夜になってしまった。


そして私は今日、彼の家に泊まっている。年頃の女の子が外泊なんて色々と問題な気がするけど。まぁ幼馴染だし…セーフだよね?

彼の両親は「曜ちゃんが一緒なら安心!」という謎理論で出かけてしまっており、いまは彼と2人きり。セーフだよね?……うん、セーフセーフ。


「おやすみ」


「うん…おやすみ」



そもそも病人と女子中学生との間で「そんな展開」になるはずはないんだけどね…。


♪ ♪ ♪ ♪ ♪



彼は一向に寝る気配はない。というか、寝るのを嫌がっているように見えた。



「どうしたの…眠れないの?」

彼の肩に触れると、微かに震えていた。それが寒さからくるものではないことは、彼の挙動からして明らかだった。彼が重い口を開いた。


「寝るのが怖いんだ…色々と深く考えすぎちゃうから」


彼は夜が来
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