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暁ラブライブ!アンソロジー〜ご注文は愛の重たい女の子ですか?〜
ヨーソローを抱きしめて 【凛キチ】
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計算ドリルをするのは意外とつらい…まぁこれも慣れたから問題ない。


そして三つ目。正直、私が水泳教室に行きたくない原因の9割がこれである。



「渡辺さん、誘っても全然遊びに来ないね」



「習い事が忙しいんだよ、仕方ないさ」


そう、放課後に友達と遊べないのだ。みんなが楽しくすごしているなかで、私は黙々と練習を続けた。



満足に遊びにも行けず、好きなアニメも見ず、ただ延々と泳ぎ、帰って来れば眠い目をこすりながら宿題をする。そしてそのまま眠りにつき、朝起きて学校へ行き、そして…またバスが来る。

小学生の特権を全部取り上げたような生活。小学一年生の私にとっては理不尽極まりないスケジュールだったと言えるだろう。


それでも、宿題を忘れた事はなかった。授業中に居眠りした事もない、クラスで孤立した事もない。皮肉なことに、私はこの理不尽なループをギリギリこなせる程度の器用さを持ち合わせていた。


私はなんでもこなせる、私はオールマイティーだ。そう思うときもあった。……けど、違ったんだ。



「やめたい」

そのとても簡単な一言だけは、どうしても言えなかった。



辛いことや苦しいこと、そんな「なんでもできる」。


それを打ち消す為の勇気ある行動は「なんにもできない」。



『なんでもできるけど、なんにもできない』


……私は、ただの器用貧乏だ。



♪ ♪ ♪ ♪ ♪



ここまでの話だけだと、私にとって水泳教室は最悪の時間だと思う人もいるだろう。でも「彼」と一緒にいる間だけは、最高の時間だった。



「今日も頑張ろーぜ、曜ちゃん!」

「うん!」

一歳年上の彼は、ふさぎこんでいた私に最初に声をかけてくれた。それからというものの、彼と話す機会がぐっと増えた。私が知らないようなことをたくさん知っていて、それが本当に面白かった。

私は彼と話すたびに心が安らぐのを感じていた。知らず知らずのうちに、彼の笑顔に救われていたのだ。身体も大きく、泳ぎも上手い。知識も豊富で、笑顔が素敵なperfect guy。そんな彼に、異性としての好意を抱くのは時間の問題だった。

彼と一緒に過ごし、共に切磋琢磨していくうちに、どんどん飛び込みが好きになっていった。やめたいと思ってたことが嘘のように。


何もかもが順調で、最高に幸せだった。告白…しようかな?な〜んてことも考えて見たり…恥ずかしいな。



私たちはずっと一緒だった。こんな日々がずっと続くと思ってたのに………




「先生!○○が!!」



「ねぇ、起きてよ!起きてってばぁ!!」





中学3年の夏。何もかもが
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