108部分:鏡を持つ少女その三
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鏡を持つ少女その三
光はすぐに実体と化してきた。それは一人の少女の形となった。
紫の波がかった膝まである髪に緑の大きな瞳を持つ可憐な少女であった。身体は華奢で陽性の様に小さい。薄灰色の法衣の下にもう一枚黄色の服を着不思議な文字が書かれた帯を締めている。
「・・・・・・・・・」
見たところ人間のようだ。だが柔らかく掴み所の無い気を発している。何処か浮世離れした印象がある。
「初めまして、サラと申します」
少女は名を名乗った。どうやら左手に持つ杖以外は何も持っていないらしい。
イシュトーは彼女を警戒していた。先程の得体の知れぬ者達の仲間ではないか、そう考えていた。
「安心して下さい。貴方が考えておられるような者ではありません」
「何!?」
サラはクスリ、と子供のような表情で笑った。
「陥れるつもりも攻撃するつもりもありません。ですから手の中の短剣はしまって下さいね」
「・・・・・・・・・」
イシュトーは言われるまま手に隠し持っていた短剣を懐中に収めた。
「どうやら人の心が読めるようだな。ならば私が知りたい事もわかるだろう?」
「はい。お役に立てるかと思います」
サラは言った。
「では私達はこれからどうすればいい?」
完全に気を許したわけではないがこの少女を信じてみようという気になっていた。第一心が読まれているのだから何をしても意味が無いとも感じていた。
「私についてきて下さい。クロノス城でお見せしたいものがあります」
サラはそう言うと左手に持つ杖を掲げた。ワープの術の淡い緑の光がサラとイシュトー達を包んだ。
着いたところはクロノス城の内だった。何やら薄暗く巨大な部屋だった。
「ここは・・・・・・?」
イシュトー達は周りを見回した。何かしらの像や祭壇が設けられている。どうやら礼拝堂らしい。
「礼拝堂か?それにしては・・・・・・」
雰囲気が禍々しい、そう感じた。それにどうやら十二聖戦士を祭ったものでもユグドラルの神々を祭ったものでもないらしい。
「何の神を祭っているのだ?どうやら聖戦士どもヴァルハラの神々でもないようだが」
「あれを見て頂ければお解りになります」
「む!?」
サラは目の前の巨大な青銅の像を指差した。それを見たイシュトー達は愕然となった。
「そ、そんな馬鹿な・・・・・・」
部下の一人が声を震わせている。
「そんな訳がない・・・・・・」
「暗黒竜ロプトゥス・・・・・・。滅んだ筈・・・・・・」
闇の黒い鱗と白く長い爪に牙、赤い眼を持つ暗黒竜とそれを崇め奉る者達、その恐ろしさは大陸の誰もが物心ついた頃から聞かされていた。親が幼な子を叱る時にはいつも彼等の名が出る程である。長くに渡り虐政を敷きユグドラルを暗黒の闇の中に陥れたその存在を人々は忘れてはいな
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