乙女の章
Y-a.Air
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この儀式が行われてから三月の後、次の乙女が選ばれる“星落の儀式”が行われるのである。
それゆえに神父達は罪に問われる事を覚悟で、この大聖堂へと赴いてきたのであった。
しかしながら結果は散々なもので、落胆する他なかった。
「神父達よ。貴殿方の言い分は解るが、それには時が必要ではなかろうか?私が玉座にある間に、貴殿方の願いを必ずや実現させよう。それ故、暫し待たれよ。原初の神も音楽に憤ることもあるまいし、私は貴殿方の言葉と誠意を信じる。いずれ、この大聖堂で音楽を奏させることを約束しよう。」
丁重に神父達を森の入り口まで送り届けた王が、別れの際に言った言葉である。だが、この言葉が叶うことはなかったのであった。
それは後の話しで語られる。
さて、神父達は教会の門まで辿り着いたものの、この話をどうシスター達に伝えようかと思案していた。
「全くもって、どう伝えたらよいやら…。」
ゲオルク神父は深い溜め息を吐いた。
礼拝堂からは音楽が響き、食堂からは夕食の良い香りが漂ってくる。
この光景はあまりにも幸福に満たされており、その中にあまり良いとは言えない知らせを持って行くのは忍びなかった。
三人はそれぞれ天を見上げると、数多の星々が美しい輝きを放ち、地上を見つめているようであった。
その時…不意に、一つの星が南へと流れた。
「これは…善い兆しじゃ…。」
それを見たゲオルク神父は微笑んで呟いた。
旧き時代の書物によると、流れ星は幸福を呼び寄せるとされていたようで、特に南へと流れる星は、神の祝福をもたらすとされていたのであった。
「あ、神父様方お帰りなさい!何をぼんやりと空なんか見てらっしゃるんですか?」
神父達が空から善き知らせを受けていた時、正面扉からシュカが出てきた。
「さぁ、早く中へ入って下さい。もう少しで夕食の支度が整いますから。シスター・アルテに言われて来てみて良かったわ。」
そう言われた神父達は互いに微笑み、シュカの開いた扉から中へと入っていったのであった。
その日の夜中である。乙女達が眠ったことを確認すると、神父とシスター達は執務室へと集まった。
「ゲオルク神父。そのご様子ですと、やはり…無理でしたか…。」
話を切り出したのはシスター・ミュライであった。その言葉に付け加えるかのように、次にシスター・アルテも口を開いた。
「解っていたことです。皆様、大変ご苦労様でした。」
シスター達の前に座る三人が同時に溜め息を洩らしたため、二人のシスターはそれが可笑しくて、つい笑ってしまった。
そうして後、シスター・アルテが昨日のことを語ったのである。
「神父様方、そう気を落とさずに。これは解っていたことではありませんか。それよりも昨日、ラノンは一つの光を見つけたのです。」
「光…とな?」
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