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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
106部分:鏡を持つ少女その一
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鏡を持つ少女その一

ーミレトスー
 ペルルーク城から西に離れた岸に着けた小舟から降り立ったイシュトー達は歩き出した。
「それにしてもペルルークの警護、固うございましたな」
 部下の一人がペルルーク城の方を見ながら言った。
「まさか我等まで通さぬとは。ミレトスでそれ程重要な事が行なわれているのか」
 別の部下も眉を顰め言った。
「それにしてもこの鎖国状態は異常だ。ユリウス殿下は一体何を考えておられるのだ?」
「それだ、これはどう見ても討伐や防衛の為の警護ではないぞ。まるで何かを隠す様な・・・・・・」
「だとしたら何だ?このミレトスは南は豊かな商業と農業の地、北は森に覆われたミレトス神殿の地、一体何があるというのだ」
「ミレトス神殿・・・・・・。『ミレトスの嘆き』か・・・・・・」
「帝国の粛清か?今まで日常的に行なわれている。見せしめとしてな」
「そもそもこの奇妙な事態をアルヴィス陛下はどうお考えだ?あまりにも不可思議だぞ」
 部下達は歩きながら己が考えを言い合う。だが話は堂々巡りで結論は出そうにない。
「卿等ペルルークの兵士達を見たか?」
 イシュトーが先頭を歩きながら言った。
「えっ!?」
 部下達が足を止めた。
「立ち止まらなくていい。帝国の軍服を着た将兵の中に混ざっていたドス黒い血と墨を混ぜたような色の服の者達に心当たりはないか?特に一番後ろにいた異様な色の法衣の司祭はどの教団の者か知っているか?」
「いえ、全く・・・・・・」
 部下達は一様に頭を振った。
「やはりな。私も全く知らない。ユグドラルはおろかアカネイアやバレンシアのどの国、どの教団のものとも違う。一体あの者達は何者なのだ?帝国と、そしてユリウス殿下と何か関係があるのか?」
「言われてみれば・・・・・・。あの者達何者か・・・・・・」
「以前よりユリウス殿下の周りには素性の知れぬ怪しい者が多かったがもしや・・・・・・」
「帝国の兵士達の顔も我等に何か言いたげだったような・・・・・・」
「向こうに村が見える。あそこで色々と話を聞いてみよう。何か解かるかもしれない」
「はっ」
 一行は村に入った。そこで彼等は恐ろしいものを見た。
「何だ、これは・・・・・・」
 家々は焼かれ無惨に壊され水車も小屋も全て破壊され井戸には汚物が放り込まれていた。
 動く気配は一切無く所々に皮を剥がれ逆さ吊りにされた犬、目を潰され桶に押し込まれ上から石を乗せられ圧死した猫、肛門に焼けた鉄の棒を捻り込まれ苦悶の表情を表わしたまま息絶えた馬、生きたまま内臓を引き摺り出されそれを口に無理矢理詰められた牛、およそ信じられぬ惨たらしい光景だった。
 人も例外ではなかった。両手足を砕かれ車輪に結び付けられたうえで頭に釘を打ち込まれた男、片手の親指だけで吊るされ寸刻み
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