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姦物語(ヤリモノガタリ)
貝木のオッサンを助ける羽目になった
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い。
「こんな怖い顔してても、可愛い後輩だしねえ、入院費結構掛かるのよ、保険とか高額医療とか、後で返ってくるんだけど、勿体無いでしょ? だから妹ちゃん、少し血を飲ませてやってよ」
「はい」
 月火ちゃんが指に少し傷を付けて貝木のオッサンに飲ませてやる。
 服装とかもあるけど、臥煙さんはどう見ても高校生か大学生ぐらい、オッサンの先輩とはとても思えない。
「臥煙さんも不老不死なんですか、貝木さんの先輩とはとても思えません」
「や〜ね〜、おだてても何も出ないわよ」
「いやあ、飴玉ぐらい出るかと」
 本当に飴ちゃんを口に放り込まれて黙らされた。大阪のオバちゃんみたいだ。
 この件は秘密のナイショらしいので、激しく突っ込むのは止めよう。体の中に虫とか飼っていて、真っ二つになっても繋がったりすると怖い。
 そうこうしている内に貝木のオッサンの意識が回復したのか、目が開いた。まだ朦朧としているのか、体も動かないのか、目だけ動かして臥煙さんを見た。
「せ、ごふっ、ゴホッ、せんぱい……」
 この人のここまで情けない顔を見たのは始めてだ。ちょっとお姉さんで大学の先輩なので、頼り切っているのだろう。
「あ〜、やっと起きた? お寝坊さん」
 感極まってキスするシーンかと思ったが、そうでも無いらしい。
「す、スイマセン、また迷惑かけてしまったみたいで」
 こんな腰が低い人だっただろうか? 偉そうに今回の教訓を言ってくれない。
「火憐ちゃん、一発殴っていいわよ」
「へ〜い」
 そう言うと、腰が入って体重を込めた正拳突きを入れたデッカイ妹。
 ちょっとチューブとか点滴が外れて、脳波か心拍がフラットラインを描いて警報音が鳴って、ナースコールが自動的に行われた。
 折角復活したのに手加減なしのバンパイアパンチであの世に送られてしまったらしい。
「貝木さん、お加減どうですか?」
 心停止したので、隣のナースステーションから来た看護師さん。
 もうお見送りの時が来たと諦めて、医者の死亡時間宣告があれば、清祓して部屋を片付けて、霊安室行きの準備をしているようだが、オッサンは月火ちゃんの血を飲んでいたので、「ばっちりだぜ」みたいに目を開いた。
「きゃああっ!」
 病院の怪談が一つ増えた。

「ああ、またお手数をお掛けしました。今回の教訓は、除霊の相手を安心させるため、護身用のマスタードスプレーも持たずに行動して、仕事が終わったと油断した所、男子中学生の腕力を侮って凶器の攻撃を防げなかった所にあります」
 いつもの「今回の教訓」は、臥煙さんにダメ出しされて、正座でもさせられて言わされるのが恒例で、毎回仕事が終わった後にも癖になって自分でも回想して言うようだ。
「はい、よくできました、治りきったらこの薬を飲むのよ」
 貝木のオッサンは、リハビ
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