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姦物語(ヤリモノガタリ)
貝木のオッサンを助ける羽目になった
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うだ。闇金のウシジマ君の他にもう一人いるそうだが忘れた。
 貝木のオッサンも、約束通りこの街には来ないで、遠く離れていてくれたら怪我しないで済んだものを、撫子ちゃんを「どないかする」のをガハラさん依頼で安く仕事受けて、臥煙さん方面からも頼まれたらしいので、今はベッドの上であの世行きか臓器提供するのを待っているようだ。
 学生たちの恨みや、ガハラさんの家庭を壊した罪を思うと非常にいい気味で、火憐ちゃんも本人見たらぶっ殺しそうだが、臥煙さん関連の依頼なので、断ったりすると「私はなんでも知っている」人なので、兄妹全員どうなるか分からない。影縫さんを使った脅迫だと思った方が良い。

「サイクリング、サイクリング楽しいな〜」
 僕は著作権的に問題にならない即興の詩を歌いながら、前籠に忍を載せて走った。
 不死身のバンパイアになろうが、火の鳥の血を飲もうが、絶対音感ができたり、作曲能力ができたり、日本人だからブラックメン特有のラップのリズムを刻めたりしないのを、自分自身の能力不足で証明した。
「アタシは楽しくな〜い」
「んん〜? 暗い部屋で一日中、ベタベタヌルヌルしてた方が良かったか?」
「や、ヤダ(ポッ)」
 いや、そこはマジで赤くなられると困る。速度を上げて蹴り倒すとか、殺人技で倒す阿良々木不死身兄妹のツッコミどころなのに、ボケを殺されてしまった。
「汗でビチャビチャになったら、帰ってからお風呂場で一杯してくれるよ」
 そう聞くと火憐ちゃんは病院まで全力で自転車を走らせた。行き先は同じなのだから、先に到着しても仕方ないのに。

 僕たちは病院に到着し、汗ばんで顔を赤らめている火憐ちゃんとも合流した。2回戦ぐらいでは体力的にも足りないらしい。
 もし貝木のオッサンの名前を覚えていて先に面会すると、死体に鞭打つ状況になったかも知れないが、火憐ちゃんはそこまで頭が良くなかったので、名前まで覚えていなかった。
「やあ暦くん、阿良々木シスターズ、よく来てくれたね」
 苦手な人物だったのか、迎えに来た臥煙さんを見た忍は影に隠れた。
「どうも〜、暦で〜す」
「火憐で〜す」
「月火で〜す」
「「「阿良々木兄妹で〜す」」」
 朝まではコンビだったので、「プロペラ飛んだ〜」とか「大口に吸い込まれる〜」ぐらいの夫婦漫才しかできなかったが、トリオになって、もう一人不死者がいるので、チャンバラでもハリセンでも「ほねえちゃんはに言うてんの〜。救急車〜。ヘーホーヘーホー。ご機嫌よ〜」までの営業ができるようになった。
「あははっ、や〜ね〜、お笑いの営業に来たんじゃないんだから」
 目が笑っていない。練習したのに受けなかった。
 病院の自動ドアをくぐって、歩いたりエレベータに乗っている間に臥煙さんと少し話せた。
「貝木さんの具合はどうなんですか?」
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