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KANON 終わらない悪夢
44珍走団
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、月宮神社かどっかに拉致されるんですか?)
 それまでに大変な試練、西遊記みたいに108回ぐらい試練がありそうだったが、翌日は悪の秘密結社?に連行されてイニシエーションされそうな予感がした。

 祐一の教室。
 二時間目の中頃、美汐がトイレに立った間にソレはやって来た。遥か彼方から車やオートバイの騒音が聞こえ始め、ソレは次第に学校に近付いてきた。
「パララ、パラリラ、パラリララ〜〜」
 ゴッドファーザーのテーマを模したクラクション、所謂「ヤンキーホーン」が鳴り響き、直管竹槍出っ歯シャコタン、天井も仏陀義理、車検も道路交通法も仏恥義理の車が騒がしく走り、気合の入った特服とリーゼントでキメた少年が箱乗りしながら曲乗りもキメ、スエットやジャージ、ラメが入った衣装、女物のヒールの高いサンダル、四十五度に傾いたサングラスなどなど、独特のセンスで固められた装備で統一された集団が、複数のパトカーを引き連れて学校を包囲し、一部が校庭に乱入してきた。
「ボーボーボボーボボー!」
「ウォン、ウォオン、ウォオン、オン、ウォオン!」
 鉄腕アトムの主題歌をオートバイの直管仏陀義理のマフラーで鳴らし、蛇行しながら後部座席の少年が踊り狂い、スロットルの開け閉めで自己主張しながら走行する一団が学校周辺を爆走し、爆音を轟かせながら校庭にも侵入してローリングを始めた。
「「「「何が起こったんだ?」」」」
 教職員が絶望の眼差しで校庭や学校周辺を見ると、暴走族、レディース、珍走団、ヤンキー、硬派、武闘派、半グレ、様々な団体が集結し、成人して卒業して警察に解散届を提出したはずのグループまで復活して、衣装ケースで大切に保管していた特攻服を着こみ、現役は長ラン短ラン、ボンタン、タック、現職は超々ロングニッカボッカ、作業服上着、腰道具、番線を締める工具、メットの代わりにハチマキなど気合の入った正装をした一団が整列した。
「ただちに解散しなさい、さもなければ共同危険行為、武器等の準備集合、騒乱などの現行犯で逮捕します」
「るせーー! ハゲがっ!」
 パトカーの拡声器から、圧倒的に人員が少ない状況でも、集合した暴走族に警告が発せられた。
 その中で各チームの総長、レディースの総長、特攻隊長、殿までが並び、代表してレディースの頭が拡声器でマイクパフォーマンスを行った。

「この中にアイザワユウイチって野郎はいるかーーーッ!! 今すぐ出てこーーい!!」
 気合の入ったよく通る声が拡声器で広がり、キーンという独特のハウリングも混ざって学校中に響き渡った。
(あの、また俺なんですか?)
 二階の三年のフロアから、いつものお呼び出しが掛かった祐一クンが顔を出し、沢山の不良が並び立つ校庭を見た。
「出て来ないと生徒全員ぶっ殺ーす! 五秒だけ待ってやるっ、出て来ぉーーい!!」

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