44珍走団
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交遊に近親相姦? 言葉に出すのも汚らわしいっ」
校長のその言葉だけで佐祐理を激怒させるには十分だった。美汐はいつでも校長を術中に収め、傀儡にする用意もできていたが、舞を退学に出来るなら幸いと思い、佐祐理には協力しなかった。
『あはは〜、舞が何か悪い事しましたか〜? じゃあ直接手を出した佐祐理は、もっと酷い処分で退学ですね〜、もちろん校長先生も一緒に退学してもらいますよ〜』
「なっ、何を言っているのかね? 倉田君、きみには何の罪もない、退学する必要は無いんだよ」
役人用の営業スマイルで、倉田家の次期当主、政治家の地盤も看板も受け継ぐ予定の重要人物に媚びる校長。
そこで重要人物に茶を出すため、この学校の用務員も現れて、顔見知りの二人に声を掛けた。
「おや、佐祐理お嬢さん、お手柔らかにお願いしますよ。舞さんもアッチの世界から足を洗えたからって、学校まで卒業しないでいいじゃねえですか?」
昔から、各学校には表の権力が通じない相手と話し合うため、裏社会の卒業生が各学校の用務員として配置され、最後の手段として闇の住人に話しを通すために存在していた。
そしてこんな人物がいなければ、夜の校舎で派手に戦いを起こし、器物を破壊しても在学できたのは「忌み子、川澄舞」を受け入れさせた倉田の家や、各家の権力や金が必要で、木っ端役人の校長には知り得ない裏取引の数々が存在していた。
「あら〜、お茶までありがとうございます〜」
「ありがとう」
この学校の本当の窓口となる相手には世話になって来たので、二人共笑顔で対応した。
「舞さんが、笑った?」
「ええ、舞の魔物が全員帰って来て、もう同居してるんです。ですからもう、舞は夜に戦わないで済むんです。一弥… 祐一さんのお陰で」
「ええっ?」
用務員は、この学校での最重要人物の片方、純血の妖狐の一人を見た。もしこの人物に危害を加えるような事態が起これば、災厄が起こってこの世が終わる。その事実を知っている用務員は、校長に耳打ちした。
「校長センセイ、表の世界のハレのお姫様と、裏の世界のアメのお姫様、一緒に敵に回して喧嘩しちゃいけませんぜ、ここは一つ穏便におねげえしやすよ」
「何を言ってるのかね? この生徒は私の経歴にまで傷を付けた、退学が当然だっ!」
「アンタなんも分かっちゃいねえ、今、この国がどうなってるのかも知らねえってのかい? 秋子様に手出しした挙句このザマだ。月宮や天野の家にぶっ殺される前に手を引くんだっ」
その目の前を、見えない何かが移動して呟いた。
『天野は、ここにいますよ』
「ひいいっ!」
過去に、人斬りとまで呼ばれた男も、栞のような化け物や、見えない天野の刺客には手出しできず、悲鳴を上げて飛び退った。
『ザストデケリサ、マフテラコスミ! お前も一生、病院の隅で震えて泣いて
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