104部分:それぞれの思惑その七
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それぞれの思惑その七
諸将がそれに続く。だがオイフェとシャナンは物の怪に捉われたかのような表情で顔を見合わせていた。
「聞いたな、あの声を」
シャナンがまずオイフェに問うた。
「ええ。あの声は正しくディアドラ様の・・・・・・」
「そしてあの娘の左目は・・・・・・」
「シグルド様の、セリス様と同じ青いシアルフィの瞳・・・・・・」
「まあ偶然だろう。絶大な魔力を持つ者のみがなれるシャーマン、一時的に瞳の色が変わる者も精霊が憑依する者もいるだろう。特に驚く事ではない」
「ですがあの娘から発せられる気、余りにもセリス様のものと似ています」
「気のせいだろう」
シャナンはそう言いながらも自分の言葉を信じていなかった。決して偶然などではない、そう確信していた。
「しかし・・・・・・」
シャナンは言った。
「セリスの下には多くの星々が集まっている。ユリアはその中でも特に優しく明るく輝いている星かもな」
天幕からセリスや諸将に囲まれユリアが出て来た。周りにいるラナやフィー、パティ達よりさらに小柄で触れると折れそうである。ふと小石に躓きこけそうになる。それをオイフェが慌てて駆け寄りセリスより先に抱き締め皆を驚かせた。
翌日解放軍十六万はイシュタル率いるフリージ軍二十五万がコノート西部トラキア河西岸において集結中との報告を受けた。
「予想通りですな。敵軍は決戦を挑むつもりです」
報告を受けオイフェはセリスに言った。
「だがフリージ軍と遭遇するのは翌日だろう。その間に敵は陣を整えているよ」
「解かっております。この地は敵地、兵力も大きく開いております」
「そしてテルシオとカラコールで来る、だね」
「はい。ですからこの場は退きます」
「えっ!?」
セリスは思わず我が耳を疑った。それに対しオイフェは笑ったままである。
「御安心ください、我々が戦い易い地に誘い込むのです」
「そうか、それが策だね」
ようやくセリスの顔にも笑みが浮かんだ。
すぐに解放軍は反転しレンスターへ引き返した。それはすぐにフリージ軍にも伝わった。
罠ではないか、フリージ軍上層部の間でもそういった疑念が起こったがトラキアの動向や解放軍の影響等を考え追撃を決定しベルファストに進出したゼーベイアの軍に備えコノートに一万を残したうえで進撃を開始した。
解放軍はレンスター城南東に達すると城に一万の兵を置きリーフを総指揮官としフィン、ナンナ等を置きそのままアルスターへ向けて南下した。フリージ軍は四万の兵をレンスターへ回しヴァンパ、フェトラ、エリウ等三姉妹を攻城戦の指揮官とした。
「来たな」
リーフは完全に修復された城壁の上でフィン達と共に攻め寄せて来たフリージ軍を見ていた。風にマントがたなびく。剣を抜いた。
「皆、やるぞ!勝って
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