暁 〜小説投稿サイト〜
KANON 終わらない悪夢
42舞の全身集合
[3/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
覚まし時計が作動した。
「……」
、目覚ましが鳴ると、祐一の上に乗っていた柔らかい物が動き出し、アラームをすぐに止めた。
「ゆうくん、おはよう」
 柔らかい物は、目を擦りながら祐一の上に覆い被さり、昨日の出来事が夢では無かった事を確かめるように、おはようのキスをした。
「お、おはよう」
 この時点で、寝起きの良さ、健康状態、炊事、洗濯、家事、知識、礼儀作法、忠誠度などの全てで、秋子ちゃんを除く他の女を圧倒している美汐。
 他は、ガチレズだが何故か祐一だけはオッケーな病んだ佐祐理お姉ちゃん@「舞を餌付けする以外、家事なんかしませんよ、姉や、お願い」派。
 同じく病んだ姉で、様々な能力や無敵無敗伝説を持っているが、異母姉弟で血が繋がっていて妖狐の父親と人間のハーフだった舞お姉ちゃん@家事一切不可。
 それから知能指数とスタイルと顔と、夜のテクニックで勝っている香里だが「悪巧み、嘘泣き、嘘芝居、暴力」を差し引かなければならない@「家事?男女同権でしょ?主夫やってよ」派。
 そして姉と同じ演技力と美しさはあるが、今の人格も芝居ではないかと思えるほど豹変が激しい闇堕ちした栞さん@マッスルボディ、「料理と洗濯と掃除ぐらいはできます」派。
 健康だけは120点の名雪@「え?早起き?え〜っと?」派。
 他にも体だけで無知、無能力の真琴もいたが、「ゆうくんの為なら死ねるよ」と平然と言い切れるのも、美汐ただ一人だった。
「昨日も怖い夢見ちゃったね、私が一緒だとだめなの?」
「いや、天使の人形が帰って来たからな」
 次第に昨日の夜の出来事が鮮明に蘇り、恐ろしい夢を見て泣いていた自分を、母のように優しく包み込んで、姉のように撫でてくれた年下の女の子を見る。
「でもやっぱり夢じゃなかったんだ…… 私、ゆうくんの「およめさん」になったんだね」
 どれだけ泣いたかを示すように、真っ赤になって腫れた目と、涙の跡が残った顔を見て、自分がこの少女に、どんな辛い思いをさせて来たか、改めて思い知らされる。
「美汐、俺」
「みーちゃん、でしょ?」
「ああ」
 しかし、美坂姉妹に追われている身で、術を掛けまくられたとは言え、舞、佐祐理、月宮一行、秋子、真琴、あゆ、名雪、美汐にまで手を出してしまった、節操の無い自分の下半身を思い、情けなくなる。
「それとも、こうなった事、後悔… してる?」
 祐一の表情を見て、美汐の目が徐々に昨日までの焦点の合わない物に戻って行く。
「いいや、でもその呼び方は勘弁してくれよ、もうこの年なんだし」
 美汐と過ごした4週間ほどの記憶を取り戻し、その後、一人残された美汐の心情を思えば、これからも一人きりにするのは、余りにも酷に思えた。 
「うん、私達、もう結ばれちゃったんだし、どんな呼び方がいい? みー? みー子でもいいよ」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ