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KANON 終わらない悪夢
42舞の全身集合
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違いでは無かったと伝えられ、自分の人生全てが間違いではなかったと娘に教えられ、穏やかに眠った。
『そう、あの時胎児だった私は、普通の人間への恐怖と憎悪、あの鳴き声に応える復讐の心を刻まれなければならなかったの』
 一つの可能性だった舞が選ばれ、人の愚かさと憎しみを存分に浴びて育った娘は、その役割を伝えて母を喜ばせた。
「さあ、学校に行きましょうか」
 母をベッドで休ませ、今日の授業の準備をした舞は、ゲートを超えて水瀬家に戻った。

 水瀬家。
 準備が終わった佐祐理達と違い、何の準備もできていない月宮一行は、教団のアジトに戻って登校の準備をするため、一足早く倉田家の車で送り届けられる手はずになった。
 テイザーやマスタードスプレーしか持っていない倉田本家の装備では、ロシアか中国製の自動小銃を持った相手には対抗できないが、「表の政治家でもある倉田本家に喧嘩を売れるものなら掛かって来い」と云う意味でも、普通の装備で送り出された。
 それと知りながら全滅させられるのも癪なので、爺やに請われて栞が同行することになり、その前に一弥を佐祐理に託そうとした。
「お姉さま、一弥くんを返します、もう体はお腹の中にあるんですよね?」
「ええ、そうですけど?」
 昨日から、頑として首を縦に振らず、姉の子として蘇るのを拒否していた一弥。栞に差し出されても、手のような物も伸ばさず、目のような場所を合わせようともせず、今朝は無言で通していた。
「お姉ちゃんの子より、やっぱり栞ちゃんの子に生まれたかったな」
 毒気をヌかれていたので、昨日のような喧嘩腰では無く、穏やかな声で話す一弥。
「うちは貧乏だしね、力も弱まってるから、祐一さんの子供でも弱い子で生まれちゃうよ?」
「それでもいいんだ、どうせ死ぬなら虐待されて絶望して死ぬより、愛されてから死にたい」
 何より家族の愛に飢えていた生物は、父や母の愛も知らず、姉や祖父にも邪魔者扱いされてから死んだので、倉田の名前など捨てて、貧しく病弱でも、少しでも愛されて生きる道が欲しかった。
「うふ、どうせお姉様や一弥くんのお母さんは面倒な子育てなんかしないよ。ちょっと可愛がって美味しい所だけ取って、夜泣きしたら抱っこしてくれたり、汚れたオムツまで替えてくれる本当のお母さんはこっち」
 栞は獣の勘や赤外線の動線で、倉田家のメイドの視線に気付き、一弥をメイドの前に差し出した。
「姉や?」
「一弥様」
 メイドは人間の形をしていない化け物にも、愛が篭った眼差しを向け、自分が育て上げた懐かしい男の子の成れの果てを受け取った。
「そうだね、あの世間体とか自分の身なりしか気にしない母さんが、子育てなんかしないよね? 僕のオムツを変えてくれたのも、ミルクとか食べ物をずっと食べさせてくれた人なんて一人しか居ないのに、どう
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