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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
黒色槍騎兵 生成秘話
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ヶ月も続く。ところが戦艦シュワルツ・ティーゲルには若い美人が乗っているのだ。とんでもない事、信じられないことが起き続けた。
最初に起きたのはタンクベッドを巡る争いだった。艦内の保安係からそれを聞いたとき、俺は最初何が起きたのか判らなかった。
「何故、タンクベッドで争いが起きるのだ? 数は十分に足りているだろう?」
「タンクベッドの数は足りております」
「?」
「今回の争いですが、原因はヴァレンシュタイン大尉の使った後のタンクベッドを誰が使うかで争いになったのです」
「……」
「とても良い匂いがするそうで……」
俺は最初冗談だと思った。いくらなんでもそれは無いだろうと。
しかし保安係は大真面目だ。ニコリともしない。つまり、彼の言う事を信じるなら戦艦シュワルツ・ティーゲルには、変態さんがたくさん乗っていると言う事になる。
冗談ではなかった。一つ間違えば、セクハラ問題になりかねない。俺は部下の管理監督責任を問われ、降格されるだろう。軍は女性下士官を多く使っているためセクハラ、パワハラ問題には煩いのだ。
俺は早速、予備のタンクベッドを彼女の個室に用意させ、それ以外は使うなとヴァレンシュタインに命じた。彼女がタンクベッドを使うたびに喧嘩沙汰など俺の艦隊であってはならんのだ。
ついでに彼女の個室も司令官室の隣にした。どこぞの阿呆が不埒な事を考えかねん。いや考えるだけならまだ許せる、実行したらとんでもない事になる。
次に起きたのは、やたらと配下の艦艇より通信が入ってくる事だった。殆どの艦艇が毎日、多いときは二度三度と通信してくる。しかもどうでもいいような要件でだ。総司令部からも注意を受けた。敵に傍受される恐れがある。通信は最小限にせよと。
総司令部の心配は尤もだ。俺は、配下の艦艇に詰まらん事で連絡するなと通達を出した。その結果、各艦から抗議が山のように来た。“旗艦だけで女性兵を独占するのは許せない”、“一日一回ぐらい顔を見させろ”
悪夢だった。何かの間違いだと思いたかった。後方で使うより参謀として使ったほうが帝国のためにもなる? エーレンベルク元帥もハウプト中将も何も判っていなかった。いや、一番判っていなかったのは俺か? 俺が悪いのか?
結局一日一回、ヴァレンシュタインが朝の挨拶を全艦に通信する事になった。挨拶だけじゃ足りんと言うので、星座占いとか、オーディンの天気予報とかやっていた。そのあたりは全部オイゲンが取り仕切った。俺は係わり合いになりたくなかった。変な病気が移りそうで怖かった。
しかし、この朝の挨拶は他の艦隊でも傍受し始めた。最終的には遠征軍全体、総司令部でも見ていたらしい。らしい、と言うのは確認できなかったからだ。
ミュッケンベルガー元帥に今日の朝の挨拶はどうでしょう?
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