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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
黒色槍騎兵 生成秘話
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ザーンがそのネットワーク構築に絡んでいないか? 帝国、反乱軍の知らない所で宗教とフェザーンの財力を軸とした政治勢力が生まれつつあるのではないか? ヴァレンシュタインはそう懸念している。
俺は呆然として中将の顔を見つめた。そんな事が有るのか? いやそんな事を考える人間が居るのか? しかも女……。どういう女だ?
「憲兵隊も軍上層部も彼女の疑念を馬鹿げている、と一笑することは出来なかった。彼女が調べていた二件はこれからも極秘に調べられる事になった」
つまり、爆破事件に地球教が、フェザーンが絡んでいる可能性があるということか?
「……」
「准将、ヴァレンシュタイン大尉は憲兵隊に置く事は危険だとなった」
「しかしだからと言って」
「地上勤務では何処においても相手が疑うだろう。いっそ前線勤務の方がいい、それが上層部の決定だ」
「……」
「彼女は有能だ。政戦両略において傑出した能力を持っている。後方で使うより参謀として使ったほうが帝国のためにもなる。先ずは若手の士官の元に配属させ、様子を見よう、それが上層部の考えだ。卿に取っても悪い話ではあるまい。」
結局俺はヴァレンシュタイン大尉を追い返すことに失敗した。軍務尚書の意向となれば俺が騒いだ所でどうなるものでもない。
それに確かにハウプト中将の言うとおり、政戦両略において信頼できる能力のある部下は必要だ。上層部は彼女に注目している。つまり俺にも注目するということだ。
俺は未だ若い。上手く行けば正規艦隊の司令官にだってなれるかもしれない。そうなればただの戦闘馬鹿ではいられない。色々な意味で彼女は俺にとっても必要な人材だ。
幸い彼女は直ぐ司令部に馴染んでくれた。当初顰め面をしたグレーブナー、オイゲン、ディルクセンも“若い女性がいると職場が華やぐ”とか“職場には潤いが必要だ”とか言いだした。
確かに真面目で、いつも笑顔を浮かべている美人が居たら誰でも楽しくなるだろう。おまけに彼女は菓子作りが得意で時々振舞ってくれる。いつもさり気無くコーヒーを入れてくれて机の上においてくれる。癒される、ほのぼのする……。
違う! 違うのだ。俺の望みは帝国軍最強の艦隊を作ること。艦隊を黒一色で統一し黒色槍騎兵と名づける。剛毅、果断、敵を粉砕する無双の艦隊……。それなのに司令部は毎日、三時のお茶会を楽しみにしている……。
いや、それも戦争になれば変わる。お茶会なんかで和んでいる暇は無い。俺はそう思うことで自分を抑えた。大体戦争を経験すれば彼女だって前線勤務は嫌だと言い出すかもしれないではないか。
そして第三次ティアマト会戦が始まった。俺はそこで女性が戦争に参加すると言う事の意味を嫌というほど教えられた。
宇宙に居る間は女っ気はまるで無い。そんな生活が何
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