39座古
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さにもよりますが、脳震盪か、脳自体にダメージがあるかも知れません。 これから詳しく調べてみます……」
「そうですか『よろしくお願いします』」
「はい……」
祐一の事を考えれば、舞の命を失わせても、あゆを目覚めさせた方が幸せかも知れない。しかし、急激に力を発揮し「力有る者」を呼び寄せてしまった以上、祐一自身が大きな災厄を起こす前に、関係者全員の記憶を消すしか無い。秋子はまず姉に連絡を取った。
「もしもし、姉さん」
「秋子っ、祐一に何かあったのっ?」
秋子が出て行く時「祐一君の泣き声がする」と言ったのが気になっていたが、母にはそれを知る力すら残っていなかった。
「大丈夫よ、友達の女の子が木から落ちて怪我をしたの」
「そう…」
「問題はそこからよ、本人はそこに残って、何体も使い魔を出して助けを呼びに行かせたらしいわ」
「ええっ?」
名雪から事情は聞いていたが、秋子にも見付からず走って来て、自分に声も掛けず、名雪すら振り切って人間離れした速さで走り去った所から、力を使ったのは想像がついていた。
「あの川澄の子供の所と、倉田の家、美坂って言う「跳ぶ」子供の所とか、他にもいるかも知れない、私は探しに行くから、姉さんは病院まで来て」
「分かった」
その後、もう一人の祐一は、妖狐とのハーフである美汐の父、力ある者に向かって走って力尽きて倒れていたが、もう一人、名雪を振り切って走っていた祐一は。
(あゆちゃん……)
まだ最初の使命を忘れず、あゆの気配を辿って病院まで来ていた。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ ズルッ、ズルッ、ズルッ
規則的なリズムを刻む機械と、あゆの父親の前を歩いて?行くが、すでにその姿は人の目には見えず、人の形も保てなかった。本体から離れているにも関わらず、力を使って栞の開けた穴を通って飛んでしまったから。
(おきてよっ、あゆちゃん)
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ
心拍を刻む音だけが響く夜の病室。
(おきてよっ)
(なか…い・で……)
(え?)
(ボク…こ……から)
(あゆちゃん、すぐそっちに行くからね、こわがらないでっ)
(……うん)
こうして、祐一が送り出した魔物のうち、2体が失われた。
(覚えているかい? これが僕だよ、君は名雪の力で忘れてしまっただろうけど、僕は忘れなかった。ずっと「あゆちゃん」と一緒にいて、その声を聞いていたんだっ、さあ、思い出せっ)
ずっと笑顔のままで、あゆの前では泣く事も許されなかった天使の人形、それは祐一の願いの一つだった。
美汐が気を失ってから一時間ほど経ち、ドアを開けて祐一がいる部屋の様子を伺って入室してきた。お仕置き?の度合いが軽かったので、目が覚めて「ゆうくんがいない」のに気付き、あゆや秋子を放置して、軽く浴衣を着てフラフラしながら
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