39座古
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分かっていますね?』
「ひいっ!」
受付付近にいた者は、今までの人生で最上級の命令を受け、自らの命を惜しまず駆け回った。
やがて看護婦や医者に引き渡され、処置室に連れて行かれたあゆ、一同はその部屋の前で待っていた。
「あゆちゃんっ、あゆちゃんっ」
「だいじょうぶですよ、きっと良くなりますから」
泣いている祐一を慰めている佐祐理。
栞もまだ青い顔をしていたが、舞の力で何とか回復していた。
「…だいじょうぶ?」
「はい」
「じゃあ、みんなでお歌をうたってあげましょう、きっとよくなりますから」
「うん…」
「心拍が安定しました、血圧も上がっています」
外から佐祐理の歌声が聞こえると、あゆの状態が安定した。やはり佐祐理の力も、舞や名雪と似た癒しの力で、歌を歌った時に発現するらしい。
「秋子様でしたか、私どもの勤めは分かっているつもりでおります。お嬢様にも、こちらの娘にも言い含めておきますので、今日の不心得はご容赦ください」
先代と一緒に、川澄親子を秋子達の前に引き出した運転手は、純血の妖狐に向かって畏れながら言上した。
「いえ、よく来てくれました、この働きで倉田の家には、また幸運が授かるでしょう」
「はっ、ありがとうございます」
「では、『貴方は車に戻って、ここへ運転して来て下さい、今日は怪我をした子供を乗せ、ここまで送り届けたのですから』、いいですね」
「はい……」
秋子ちゃんに命令されると、運転手は病院を出て行った。
「それと『貴方はお嬢さんと一緒に、車に乗ってここまで来たのです、病院の手続きは貴方がして、子供の身元も貴方が知っていたのです』わかりましたね」
「はい……」
倉田家の侍女も、まるで狐に化かされたように、今日の記憶を変えていた。
『貴方達も今日の事は忘れなさい』
「「はい…」」
栞と佐祐理は返事をしたが、祐一と舞には効かなかった。
(やっぱり)
特に祐一には辛い記憶を残したくなかったが、今の状態では、秋子の術は通じなかった。
「それと貴方、『これからあの力は使わないで、でないと体が衰えて死んでしまうから』、わかった?」
「はい」
辛うじて舞から力の補給を受けた栞だったが、許容量の小ささは変わらない。この暗示が切れ、力を使い切るまでは生きられるだろうと思う秋子だった。
そこで、処置室の医者から呼ばれた秋子。
「あの、この子は血が付いていただけで、打撲だけだと思いますが、他のお子さんに怪我はありませんか?」
その量の失血だけで、死ぬか脳障害を起こしそうな大怪我かと思えたが、あゆには外傷が無かった。
「そうですか『慌てて連れて来たので、さっきの運転手さんが手を切ったかも知れません、それと、意識が戻らないのはどうしてでしょうか?』」
「ええ、落ちた高
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