邂逅
ベック公の帰還
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
古代機械に入室を拒否された<セカンド・マスター>、アルド・ナリスの前で。
パロ聖王家の青い血を共有する従兄弟、聖騎士団を預かる実直な武人が瞳を開いた。
「ファーン、還って来てくれたのですね!
貴方と再会が叶って、嬉しいですよ!!」
グイン救出時には魔の胞子が脳細胞を冒し、反応を見せなかった聖騎士団の統率者。
ベック公の顔が動き、驚愕の表情を浮かべる。
信じ難い物を見た様に瞳を見開き、歓喜に顔を輝かせる従兄弟を凝視。
「ナリス、本当に貴方なのですか!
信じられない、自分の足で立つ事も出来る様になったのか!?」
自力で身を起こし、驚きの声を上げた直後。
ファーンの誠実な瞳に、涙が溢れた。
覚束ない足取りの従兄弟に駆け寄り、確りと支える。
「ナリス、本当に申し訳の無い事をしてしまった。
弁解の余地は全く無い、何と言って謝れば良いか見当も付かない!
私は何と愚かだったのだろう、貴方が言葉を尽くして引き止めてくれたのに。
無謀にも黒魔道の術など怖れるに足りぬと見縊り、餌食となってしまった。
《あれ》は断じて人間では無い、レムスの内身は全く別の邪悪な存在だ。
突拍子も無い告発には一片の嘘偽りも無く、全て真実と理解した時には手遅れだった。
私を真摯に案じてくれた貴方を信じずる事を拒み、真実を見抜けなかった罰。
愚かな私に対する当然の報い、ヤーンの罰だと思う事しか出来なかった」
「親愛なるファーン、何も謝る事はありませんよ。
魔道に詳しい者でなければ理解出来ぬ話を、性急に信じさせようとした私が誤っていたのです。
何回も共に戦い従兄弟同士でありながら、充分な信頼関係を築いて来なかったのですから。
元通りの貴方と再会を果たす願いが叶い、ヤーンに感謝しなければなりません」
流暢に喋る策謀家の脳裏に、魔道師の遠隔心話が響いた。
入念に精密探査を施したが異常は発見されず、闇色の瞳を満足気に細める。
チェシャ猫の様に微笑う従兄弟と対照的に、素直な性格の武人は眩し気に瞳を瞬かせた。
「貴方は、強くなったね。
今の貴方には以前には感じられなかった、穏やかな雰囲気を感じる。
とても落ち着いていて、自分自身を信じているのだなと感じ取れるよ。
今後は私が先頭に立って戦うから、貴方は身体を休めてください。
本来であれば私が武の束ねであり、パロ大元帥として聖騎士団を率いて戦うのが当然だ。
怪物に乗っ取られてしまった国王、レムスを追討する軍を起こさねばならないのだからね」
「御気持ちはとても嬉しいですよ、ベック。
でも折角の御申し出に対して誠に心苦しいのだけれど、そうして頂くと都合が悪いのです。
レムスを乗っ取ったキタイ勢力は、魔の胞子を取り除く方法は無
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ