邂逅
ベック公の帰還
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る者を失った彼の信頼を得たが、私は彼の秘密を奪う事しか考えなかった。
謹厳実直にして正義感が強く、人に対する思いやりに溢れ民からの信頼も厚い。
問題だらけの聖王家を救う唯一の切り札、復興の立役者として適任だと思います」
真面目な貌で唐突に即位を要請され、聖王家の第3王位継承権者は従兄弟を凝視。
ファーンは呆気に取られた表情を隠さず、魔道師軍団の指揮官も灰色の眼を剥く。
「面倒な実務は総て頭脳明晰な宰相、ヴァレリウス魔道伯に丸投げすれば良いのですよ。
リーナスが切れ者と尊称されたのも、こう言っては何だが黒子に徹した彼のお蔭です。
黒竜戦役の際は私と対等に渡り合った智謀の主、パロ復活を成し遂げた真の功労者。
経験豊富な魔道の専門家ですからね、私も御手伝いしますが御心配は無用です。
クムや新生ゴーラ王国の無法者に対処する為、パロ軍を強化する必要もある。
聖騎士団を束ねる聖王家の武人、第三の男が即位しても当然の状況と思います」
(いきなり急に何を言い出すんですか、ナリス様!
ベック公を聖王に即位させる、なんて一言も聞いてませんよ!?
束縛から逃れたい御気持は解りますが、私に面倒事を押し付ける御心算ですか!?
それなら私だって、イェライシャ老師に弟子入りして一介の野良魔道師になりますよ!)
(おや、気が合うね、ヴァレリウス君。
パロ聖王家と魔道師ギルドを権威主義者達に任せ、放浪の旅へ出るのも悪くないね。
私に劣らぬ美貌と噂される望星教団の教主、ヤン=ゲラールにも会って見たい。
キタイの魔道師は結婚して子孫を残し、優秀な血統を絶やさぬ様に配慮するそうだよ。
大導師アグリッパのお気に入り、我が最愛の恋人よ《マイ・スイート・ハート》。
喧嘩っ早いが姉御肌で頼りになる聖騎士伯、我が従姉と一緒になる気は無いかね?)
(魔界都市に棲む美貌の魔界医師じゃあるまいし、妙な台詞は止めて下さい!
私の事を悪く言うのは構いませんが、好い加減にしないと怒りますよ!!
(リギアの悪口は許さない、と云う訳かな?
恋は盲目、とは言わないが君らしくもない直情的で実に率直な思考だね!
心話を中継して彼女に直接、その想念《おもい》を届けたらどうかな?
表面的にはつれない態度を取っても、心の底では喜ぶと思うよ)
(ナリス様、誤魔化そうとしても駄目ですよ!
私にだって学習能力はあります、その手にはもう引っ掛かるもんですか!!)
(やれやれ、君は真面目に過ぎるのが玉に瑕だね。
たまには息抜きをしないと精神衛生上も良くない、ストレスを溜め込み過ぎだ。
君と私が豹頭王主催の中原連合軍に参加せず、キタイへ同行しなければどうなる?
パロ魔道師軍団も歯が立たぬ黒魔道の達人、竜の騎士を
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