邂逅
ベック公の帰還
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いと信じている筈。
ファーンが軍を率いて戦場に立てば、魔の胞子を退治する手段の存在が暴露されてしまう。
私も光の船と化した古代機械の正統な継承者、ケイロニア王グインに命を救われました。
長年研究を続けていましたが、古代機械に治療の機能が有るとは全く気が付きませんでした」
大導師アグリッパも一目を置く閃き《インスピレーション》、詩人の魂を秘めた夢想家。
ナリスの噛み砕いた説明を聞き、魔道に親しいとは言えぬ聖王家の武人は率直に驚いた。
「サイロンに赴く途中で引き返してしまい、私は未だ対面の機会を得ていないが。
奇蹟の演出者は神話のシレノス、ケイロニアのグイン王であったのですか!」
「貴方を竜王の呪縛と追討軍の陣中から強引に拉致し、救ってくれたのも豹頭王陛下です。
古代機械に治療せよと命令してくれた本来の主、グインに私も貴方も救われたのですよ。
ファーンの治療に費やした数日の間に、カラヴィア軍が合流し兵力は5万を超えました。
世界最強のケイロニアからも、豹頭王グイン自ら率いる精鋭が援軍が来ています。
貴方が回復した事は伏せて置きたいのです、キタイ勢力を油断させる為にね。
大変重大な用件を抱え頭を悩ませているのですが、お願いを聞いてくれませんか?」
聖王家の武人は顔を輝かせ素直に感激を顕し、従兄弟の瀟洒な手を握り掛けたが。
危うい所で気付き神妙な面持ちで従兄弟を見詰め、壊れ物に触る様に力を加減した。
「例え再び聖王宮へ赴けと言われても従います、武人の名誉に懸けても二言は無い。
貴方の頼みなら何でも引き受けるとも、どんな事か教えてください」
己と全く異なる真摯な眼差し、実直な眸に心疚しさを覚えたか否かは不明だが。
先刻の従兄弟と同様に太陽を直視したかの如く、眩し気な瞳が闇黒の色彩を薄めた。
「前聖王アルドロス三世の弟、アルディス王子の嫡男ベック公ファーン。
パロ聖王家の中で精神も肉体も健全な唯一の男性に、王位を継承して頂けませんか?
レムスは黒魔道師の傀儡と化し、私も身体の回復には一定の時間が必要な状況です。
第1王位継承権者リンダは面倒な因習が大嫌い、我が妻を説得する自信はありません。
パロの女王として国家を再建する適任者、とも思えませんし他の人材も居ない。
トーラスに向け黒竜戦役の債に進軍中、モンゴールの避難民と遭遇した事がありましたね。
グル族の襲撃に曝される無辜の民を見て、心を痛めた貴方の表情は忘れていません。
負けた側は略奪されて当然、世の常ではないかと其の時は考えましたが。
人の痛みを理解し共感する貴方と、傲岸無知な私の何方が国王に相応しいでしょうか?
スカールが愛妻を喪い、クリスタルに逗留した際も同じでした。
貴方は愛す
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