精神の奥底
65 自責と自責
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問いただしたいところだが、相手は1人ではない。
問いただしている間に集団で襲われたら、同様に素人であろうと勝ち目があるかは怪しい。
それに周囲の野次馬が喧嘩の気配を感じ取って騒ぎ始めるかもしれない。
彩斗はすぐに七海の腕を取る。
「行こう」
「待って!この人……」
「コイツを問い詰めてる余裕はない。敵は1人や2人じゃないんだ」
「そうじゃなくて!よく見て!私たちと同じくらいの年じゃない?」
「え…?」
七海に指摘されて、立ち止まった。
確かに顔面は彩斗の肘打ちを受け、鼻血が溢れ出していてはっきりとはしないが、背格好は自分たちと大して変わらない。
服装も最近の中学生の流行に乗っかったのがすぐに分かるような服を着ており、年齢はそう離れていないのが伺えた。
だが彩斗にはもうどうでもよかった。
悪意を向けるのが誰であれ、恨まれる筋合いは無い。
相手がValkyrieや紺碧の闇のような集団ではなく、実際に戦ってみて分かった通り、素人の集団だと分かれば十分だった。
それも悪ガキの集団なら相手にしないのが一番だ。
これ以上、絡まれる前に一刻も早くここから出る。
その為に七海の腕を引っ張った。
「急がないと……」
出口が見えてきた。
人の出入りが少ない裏口ではあるが、ここならば15分置きに循環バスも出ているし、常時5台程度のタクシーが待機している。
七海には1万ゼニー程持たせれば、家までは余裕で帰宅できるだろう。
だがその時、既に背後に2人を付けて来ている者たちの気配を感じていた。
七海の腕を握る手に力が入る。
既に小走りではなく、全力疾走の域に入っていた。
2人を後押しするように自動ドアが開く。
しかし外に出た瞬間、彩斗は立ち止まった。
「どうしたの?」
「囲まれた……」
彩斗は出口を固めていた者の存在まで感じ取ることができなかった。
可能性を疑うことは十分できたが、感じ取った敵意以外に敵の居場所を知る術を持たなかったが為に見落としてしまったのだ。
出口で待ち伏せるような相手はあくまで保険として待ち伏せているに過ぎず、常にこちらに敵意を向けていたわけではない。
しかし自分たちの縄張りに近づいたことでようやくその敵意を露わにした。
そして彩斗たちのその姿を見せる。
「お前たちは……」
「連中が死んだからって、女連れでショッピングとは随分と調子乗ってんじゃねぇか」
彩斗と七海を取り囲んだのは8人の中学生から高校生で、数名は名前は思い出せないものの、見覚えはある。
彩斗が殺した不良たちに虐げられていた者たちだ。
だが全員、以前のように弱々しい態度ではない。
髪をワックスで固め、凶悪な笑みを浮かべた上、恐らくは銃やナイフを携帯している。
彩斗は先程同様に七海をかばうよう
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