精神の奥底
65 自責と自責
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していた。
逆探知されることも前もって可能性の1つとして考慮していたのは間違いない以上、それを知りながら端末を持ち続ければ自分が電話の主だと自白したようなものだ。
彼らのような狡猾な性格ならば、そのようなリスクを避けるだろう。
だがその発想を逆手に取ることも十分に可能だ。
彩斗は七海の目を見た。
だがやはり嘘をついてはいないようだ。
「…心当たりは?怪しい奴が近づいてきたとか?誰とぶつかったとか?」
「いや…特に……」
「じゃあ、前に僕宛ての手紙を渡してきた奴のことを教えて」
「それが……」
「覚えてない?」
「君の親戚だって」
「僕の親戚?どんな奴だった?」
「顔が君とそっくりっていうか…君の10年後っていう感じで……勘当されてるから自分のことは話さないで欲しいって言われて」
「……ッ。僕の顔を使ったのか……」
彩斗はため息をついた。
こともあろうに彼らは彩斗の顔に変装して現れたのだ。
おそらくは彩斗の顔のマスクに老けメイクを施したものか、何らかのソフトウェアを使って顔写真から数年後の彩斗の表情をシミュレートして作られたマスクを使ったのだろう。
今では顔写真1つで簡単に3Dモデルを作ることができる。
メリーのような身内なら見抜けるだろうが、七海は彩斗の家族と会ったことも無い完全なる赤の他人だ。
騙すのは容易だっただろう。
彩斗は唇を噛み締めながら、メモリーカードをポケットに仕舞う。
「……落ち着くんだ。まだ手がかりは…」
「あの…沢城くん?」
彩斗は七海は不安げな表情で声を声を掛けられて我を取り戻す。
七海は完全に彩斗の行動を不審がっていた。
誰がどう見ても、おかしい。
しかし七海は同時に彩斗が何かに巻き込まれていることを察していた。
「あっ、ごめん。何でもない。全部忘れてくれ。それより僕に何か用があったでしょ?」
「えっ…あぁ…これを渡そうと思って……」
「これは?」
七海は分厚い手帳のようなものを取り出した。
そこらの文具店や書店で売っていそうなものだが、ところどころ日焼けして色あせているし、少なくとも数年以上の年季が入っているものなのは目で見ただけでも分かる。
バインダータイプでサイズの合うルーズリーフを買い足していけばページを増やせるものだが、増やしすぎてかなり分厚くなっている。
「ミヤの日記だよ」
「…あっ」
彩斗は思い出した。
何処かで見たような気はしていたが、ミヤがこれに何か書き込んでいるのを見たことがあった。
恐らく予定かやることリストのようなものが書かれているとばかり思っていたが、まさか日記帳だったとは思いもしなかった。
しかしそれを知った瞬間、彩斗の手は吸い込まれるかのように日記に伸びた。
彩斗も何故なのかは全く分からなかった
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