第三十話 論戦に向けて十二
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「その子が王になるわ」
「ですね、そしてです」
「そのお子自身がロートリンゲン家の血をお引きなので」
「太子のお子です」
「そうでもありますから」
マイラの子であるがそれと共にというのだ。
「どうしてもですね」
「そうなってしまいますので」
「それはあってはならない」
「そうですね」
「そうなったことは」
マリアは太子とマイラの子が彼女達の祖国ひいては四国の王になりかねない状況になっていることにこう言った。
「最初はね」
「はい、考えていませんでした」
「誰もです」
「マイラ様の王位継承権は低く」
「とてもです」
「そのお子が王になられるなぞ」
「とても」
「エヴァンズ家の三代の王が短命であられた」
この事実をだ、マリアは歯噛みして述べた。
「そのことがね」
「はい、まさにですね」
「この状況に至らせましたね」
「残念ながら」
「そうなりましたね」
「お父様に男の子がおられて」
即ち王子がだ。
「叔父様が他に男子をもうけられるか」
「先々代の王がですね」
「ご長命なら」
「そして男子がおられれば」
「こうしたことはなかったですね」
「間違いなく」
「なかったわ」
絶対にとだ、マリアはまた言った。
「それはね」
「そうなってしまうとは」
「誰も思いませんでした」
「エヴァンズ家の直系の男の方がおられなくなるとは」
「まさか」
「最も血が近いのが」
その者こそがだ、エヴァンズ家から見て。
「北の国の王子、今は王でもあるわね」
「あの方でしたね」
「あの方はエヴァンズ家の血が今現在最も濃いです」
「だからこそ王に選ばれましたが」
「この国の王にも」
「北の国の王であられると共に」
「そうなったわ、けれど」
それでもいうのだ。
「王はまだご幼少、お子をもうけられるのも先で」
「はい、しかも幼子はです」
「何時どうなるかわかりません」
「成人されるまでは」
「何時どうなるか」
「そう、子供はすぐに死ぬわ」
マリアがこの現実を直視し深刻視する様になったのは成長してからだ、特に今は母になることも念頭に置きこの考えが強くなっている。
「まさにね」
「左様ですね」
「本当に何時どうなるかです」
「わかりません」
「子供の命は」
「特に幼子は」
「だから王はどうなられるかわからないし」
それにだった。
「その次にね」
「マイラ様のお子が、ですね」
「即ちロートリンゲン家の方が」
「王になられる」
「若しお産まれになられればですが」
「この度の論戦で旧教側が勝てば」
「その時は大きな弾みになりますね」
側近達も危惧していた、マリアと共に。
「新教側が勝てば若しお生まれになっても」
「優位を保てていて」
「対する
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