二日目 馬鈴薯の嵐、巻き起こる旋風
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ムが口を開く前に俺は危機を察知してしまった。
「……まさか」
「はい、材料が底を尽きてしまいました」
思考停止。
昨日、レムがあんだけ頑張って仕込みしてたのにそれを全部アイツは食っちまった────?
「嘘だろ……アイツどんだけ食ったんだよ」
「この屋敷で貯蔵されていた分の食料と村からの調達を合わせて。
ざっと計算すると四年と三ヶ月分ですね……あ、これはスバル君の一日に摂取するカロリーを基準に計算しました」
「どんだけ食ってんだ!?
てか、カロリーって……」
「以前、スバル君から教えて貰った言葉です。
使い方……間違っていたでしょうか?」
「いや、間違ってない。
寧ろここでは適切な言葉だったと思う」
レムが俺の元居た世界の言葉を使ったのには驚きを隠せなかったが、今はそれより上の驚きを対処しなければならない。
「さて、どうする」
おかわりは絶たれた。
今から村まで走って食材調達『馬鈴薯のみ』に行っても雷祈の「おかわりですぅ♪」には間に合わない……。
いや、そもそも村の馬鈴薯はあるだけ貰って来たんだった。
どの道、GAME OVERかよ。
────ぐっと何かが重くのしかかってきた。
疲れがピークなのだろう。
昨日の馬鈴薯の皮むき地獄がお遊びに感じられるほど動いたからな……。
「スバル、大丈夫ですか?」
「んっ。
あぁ、なんのなんのこのくらい」
弱ってる所なんて見せられない。
なんとか虚勢の偽りの元気を見せつけ。
「雷祈におかわりは無理って伝えてくる。レムも疲れたろ洗い物は俺がするから休んでてくれ」
「でも、スバル君……」
「いいからいいから。
昨日からあんだけ頑張ったんだ。流石のレムも疲れたろ?
俺はまだまだ元気だから少しは手伝わせてくれ」
そう言って厨房を出るとそこにはラムが立っていた。
「あ、ラム。
悪ぃ……もう、食材が底を尽きたからおかわりは無理だってさ」
「ふんっ」
あれ、まだ怒っていらっしゃる?
あんだけナイスなコンビネーションしてまだ怒ってる?
「レム、雷祈様から言伝よ。
ご馳走様でした。とても美味しかったです、だそうよ」
「え?」
……ご馳走様?
って事はお腹一杯って事だよな?
「良かった……私の料理、全部、食べてくれたんだ」
それはとても小さなレムの声だった。
その表情は微笑んでおり。
────涙を零していた。
「泣くほど嬉しかったのか?」
俺にはその涙の意味が解らなかった。
出した料理
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