二日目 馬鈴薯の嵐、巻き起こる旋風
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せっせっせっと。
運べど運べど終わらない。
余計な事を考えず、ただただ料理を運ぶ簡単なお仕事です。
だが、運ぶ量はとてつもない。
行って帰って。
行って帰ってを繰り返す。
厨房→豪華な客室→厨房……。
これを幾度となく繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し────あれ?
俺、今何やってるのる?
と錯覚するくらい絶賛お仕事中です。
流石のラムも息を切らしている。
レムなんて「ハァァァァッ!!」なんて雄叫びを挙げながら馬鈴薯を調理してたからな。
扉は常時、開いている。
料理を持ち運びする時、邪魔になるからだ。
俺がささっと空になった皿を片付け、ラムがせせっと料理を置いていく。
「う〜ん、美味しいです♪」
幸せそうな顔だなおい。
それほどレムの作った馬鈴薯料理が美味しいのだろう。
うん、それは嬉しい事だ。
でも、お仕事してる使用人の事も考えてほしいな?
「おかわ────」
言わせない。
おかわりなんて言わせない。
言い終える前に準備する、場を整える。
職人じみた動きだ。
なんの職人かはご愛嬌。
ただ、この光景を見れば俺達の動きは職人!?……なんの職人か解らないけど職人みたいな動きしてる!
と評価されるだろう。
そして俺は全速力で走り出す。
向かうは厨房、作り終えた料理を一分一秒でも速く運び。
戦況を整えなければ負ける。
何に負けるの?
と言われたらどう返せばいいのか分かんねぇけど。
とりあえず負けだ、負けになるんだ。
自然といつの間にか出来ていた定義。
笑顔でレムの作った料理を平らげている雷祈が「おかわり」の単語を言い終える前におかわりの料理をテーブルに並び終えれば俺達の勝ち。
だから何の勝負なの!?
って聞かれても困る。
これはやってる本人達にしか味わえない暴食魔神と使用人のガチンコ勝負なんだから。
この勝負に明確な勝利はない。
それは敗北も同義だ。
勝っても負けても得られる物は何もない。
この勝負自体なんで始まったのかすら俺達は理解していない。
ただ、俺達使用人は。
雷祈の口から「うぅ……もぉ、お腹いっぱいですぅ」と言わせたいだけなのだ。
その為だけに俺は、『俺達』は戦っている。
まぁ、実際そう思ってるのはナツキ スバルだけなんだが。
勘違いは時に強い団結力を生む。
その力は計り知れず、普段のスバルでは出しえない力を発揮していた。
勘違い乙とはまさにこの事だろう。
思い込み、勘違いだけでこれだけ本気になれるんだ。これはもう才能と言っていい。
「レム、次の料理を!」
「ス、スバル……君」
緊急事態発生。
レ
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