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霊群の杜
七人同行
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タケ!?」
「…あれは七人ミサキとは違う形で、海に囚われたものだ。決定的な違いは」
生を得ている、ことだねぇ。胡散臭い形ではあるが。奉はそう呟いて口の端を吊り上げた。
「生を得てはいるが、人としての記憶はない。そんな虚ろな魂だが、魂には違いない」
やがて七人の亡者はじゅごんを捕らえると、ゆっくりと海に沈めた。…列の後ろに女の姿が現れ、先頭の男が消えた。


―――彼らが船から離れていくに従い、魚の群れはほどけるように消えていった。ダツの輪切りが溢れる甲板に、俺は茫然と立ち尽くしていた。
その後、俺はきじとらさんから『飛来する魚を三枚おろしで切り落とす』という謎の訓練をさせられた。きじとらさんは俺に何をさせるつもりなのだろうか。



…あれから2週間。綿貫は俺に話しかけてこなくなった。その他にも、俺を遠巻きにするようになった友人が数人。理由を追及するつもりはない。…綿貫に怪我がなくて、本当によかった。それで充分だ。


時折俺は思うことがある。
奉が『じゅごん』を集めていた理由だ。
俺は未だに、七人ミサキに捧げられたあの子供達の、恐怖と怒りに満ちた瞳を忘れられない。あの子達を開放してやるためなら、じゅごんを捧げてやっても構わないと素直に思った。…子供達を攫って捧げた『誰かの家族』も、そんな気持ちで子供を攫い、海に放ったのだろう。奉が云う通り、それは人に産まれたが故の『人の営み』に他ならない。
そんな人の営みに少しだけ梃入れ出来るとすれば、犠牲になった子供達の成仏を助けてやること位だろう。
だから俺は、奉の仕事に少しなら手を貸してもいい。


だがさしあたり、少し困った事が起きている。


学内で、俺と奉について『良くない噂』が流れ始めていた。

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