最終話「マスクドライダー」
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後日、研究所は謎のテロ集団によって襲われたというニュースが流れた。主任の鬼守は惨殺遺体で見つかり、それ以外の研究員や武装兵、警備員は皆命に別状はなかった。
また、岡崎智也が暮らしていたアパートの一室では愛人であった坂上智代が遺体となって見つかった。
研究施設はその後、強化ソルジャー計画のプロジェクトと共に凍結処分にされ、施設の研究場は取り壊され、職員はすべて解雇される形で終わった。
また、智代の遺体から研究所で見つかった銃弾と同様の物が検出され、鬼守か他の関係者が彼女を殺害した可能性が高いこととなり、それ以外の指紋は見当たらなかった……
「結局……」
智代の葬式を終え、礼服を着た鷹文は河南子の隣でそう言いかけた。
「……?」
静かに振り向く河南子に、鷹文は再び続けた。
「……結局、シンさんは何者だったんだろう?」
彼は、姉を殺した犯人がシンだったとは思っていなかった。何よりも証拠があるのだから。
「さぁね……?」
一時期、智代を殺害した犯人は明也だという疑いがかけられた。彼はすでに死亡が確認されているものの、死を偽っているのかという疑いのため彼の墓を調べた結果、明也は遺骨となったまま墓の中で眠り続けていたのだった。
……あのとき、明也が生き返ったというのは、智代だけの思い過ごしだったのだろうか?
しかし、鷹文は例の研究施設がやっていたことが気がかりであった。
「もしかして……例のライダーとか?」
「はぁ……?」
「……河南子、『マスクドライダー/仮面ライダー』っていう都市伝説知ってる?」
「一様……」
「もしかすると、シンさん……いや、明也さんはあの研究施設で蘇ったマスクドライダー、仮面ライダーだったかもしれないね……?」
その後の調べによれば、研究所は非人道的な研究を続けていたという。もし、その施設を明也が破壊したというのなら……
「無償で人を救い、去っていく孤高のヒーロー説、か……」
また、シンこと、明也の行方もいまだ不明であった。
「……んなこたぁどうだっていいだろっ!?」
河南子はそう怒り、叫んだ。
「あいつは……あの野郎は、また先輩を『一生』一人にして行っちまいやがったんだ!! 全然助けてねぇよ! 先輩のこと……!!」
「河南子……」
と、静かに大粒の涙をこぼす河南子を、鷹文はそっと抱きしめてやった。
――シンさん……いや、明也兄ちゃん。いつか……また、この町に帰ってきますよね?
そして、彼女を胸に抱く鷹文はゆっくりと頭上の空を見上げた。
この空を、明也がどこかで見ていることを信じて……
*
「……」
濃い霧の中、明也は背後を振り向き続け、時期に背を向けると、智代の黒いカチューシャを握りしめて白い闇の中へと消えていった。
いつか、彼の生きた証が智代と共に生きた証として
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