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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第550話】
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――違う、『恋愛対象』じゃなく、私自身が彼に恋している。
だけど、距離が近くなればなるだけ、彼との距離を離さなければならない……そんな事実が刀奈の胸を締め付けた。
「……今日の刀奈、何だか表情暗く見えるけど……」
「そ、そう……かしら? あはは」
「……見えますよ」
そう言ってヒルトは刀奈を振り向かせた、互いの呼吸が唇に触れるぐらいの距離に刀奈は赤くなる。
だけど彼の真っ赤な瞳に吸い込まれそうになる――彼の瞳にはそんな魔力が備わってる。
気付くと刀奈はその瞼を閉じていた、ヒルト自身キスするとは思っていなかったのだが――艶のある唇に誘われる様に刀奈と口付けを交わす。
以前の様な触れるだけの口付けではなく、まるで時が止まったのかと錯覚するぐらい長く、口付けを交わした。
柔らかな唇の感触に、ヒルト自身ドキドキする中、刀奈も心臓の鼓動が刻むビートの速さに、このまま死んじゃうかもと脳裏に過ると、名残惜しくも彼女から唇を離した――だが、やっぱりまだキスしたくなり、直ぐに口付けを交わす。
何度も角度を変え、人に見られるかもしれない場所なのに、二人はまるで求めるようにキスを続けた。
「……ん。 刀奈……」
「ぁ……。 ご、ごめんね、ヒルト君。 ……は、離して良いわよ」
「あ、はい……」
ヒルトが離れる――今まで感じていた彼の温もりが感じられないのは寂しい。
だが唇に今も残るその感触に、無意識に唇を指でなぞる刀奈――その姿が妙に色っぽく映った。
互いに沈黙が続き、静寂だけが支配する空間――それに耐えきれなくなった刀奈は。
「あ、ああそうそう。 ヒルト君、やっとお姉さん全快したわよ。 傷も無くなったし、ほら」
そう言って制服をブラウスごとたくしあげる刀奈、括れのある腹部に銃創は無く、綺麗な肌が姿を現した。
とはいえ生体癒着フィルム及びナノマシン治療の痕跡が微かに見えるのだが――遠目からは傷は塞がっているも同然だった。
「……傷が無いのはわかりましたから、あまり女の子が腹部を露出するのは良くないですよ」
心配して告げるヒルトだが、刀奈からすれば女の子扱いされたのが嬉しかったのか僅かに表情がにやける。
「わ、わかったわよ。 ……もぅ」
キスの余韻は何処へやら、いつもの雰囲気に戻った二人は暫く談笑を続けたのであった。
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