第69話 道筋
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」
泡浮が真剣な目付きで質問した。
「......はい、しかしプライバシーに関する事かと」
「!あたし達に話せる範囲で良いから聞かせてくれるかしら」
「は、はい」
泡浮が持ってきた椅子に腰掛けて婚后は指と指を弄りながらゆっくりと皆の反応を伺いながら話し始めていく。
「あの......さきほど聴いてしまったのですが......サソリ様が震えていましたの」
背後から見たサソリの姿は小さな子供のように怯えているような感じだった。
「「「「!!?」」」」
「ど、どういう事かしら!?」
「その......詳しく聞いてないのですが......圧し潰されそうだと......守りきれないだとかですわ」
婚后の言葉に御坂達の表情が強張った気がした。
「っ!!?」
御坂は静電気よりも強力な電撃を反射的に頭から迸らせ、テーブルを叩いて立ち上がった。
「み、御坂様」
「何処?」
「はい?」
「サソリは何処に居たの?!」
「い、一階の休憩所ですわ」
凄まじい剣幕に婚后は押されながらも絞り出すように答えた。
白井や湾内達も察したように立ち上がると焔を宿した瞳でランチの後片付けをし始める。
「湾内さんごめんね。その水着モデルにあたし達も行って良いかしら?」
「はい!もちろん」
「ありがとう。黒子悪いけど初春さんと連絡取ってみんなを集めてくれる?」
「分かりましたわ」
白井が携帯を取り出して初春と連絡を取り始めるのを確認すると御坂はフウエイの手を優しく掴んだ。
「フウエイちゃん。パパの事好き?」
「?うん!大好きー」
「そう、じゃあ迎えに行こっか」
フウエイの満面の笑みの見て御坂は静かに心を決めた。
「あ、あの......わたくし余計な事を」
「そんな事ありませんわ婚后さん。教えて頂かなかったらきっと後悔してましたし」
泡浮が優しく困惑している婚后に付き添いながらゆっくりと確かめるように歩みを進めていく。
「それにサソリさんを助けたいと思っている人はまだまだ居ると思いますわ」
柔らかな物腰ではあるがその視線は別の場所を見つめていた。
引かれるままに婚后は泡浮の真っ直ぐな背中を追いかけるように一緒に走っていく。
これが派閥というものですの!?
こんなに力強くみなさんに働き掛ける心の一致感に婚后は思わず頬が緩み、拍動が強くなっていくのを覚えた。
湧き上がるなんとも形容し難い感情が頭を揺さぶり高揚していく身体は疲れ知らずだ。
初めての仲間
初めての友達
初めての他者との繋がり
全ての人生はこの一時の瞬間に存在していたと表現してもおかしくない。
優秀な成績を修めたよりも
自分の誕生日を祝われたよりも
常盤台中学校に編入が決まった時よりも遥かに強い充足感が満ちていく
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