第69話 道筋
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「む、無理に出なくても宜しいですわよ......わたくしの方で断っ」
「やりますわぁぁー!!」
間髪入れずにこの日一番の湾内の張りのある声が響き渡り先輩のみならずその場に居た全員が何事かと嵐を呼ぶ一年生に怪訝そうな顔を浮かべた。
え?
何事ですの!?
ヒソヒソと話し声が聴こえて来て泡浮が気まずそうに周囲をキョロキョロしているが、湾内は恋は盲目とは言わんばかりに熱心に見せられている説明書と先輩の話を聞いていると、突風が吹いてプロモーションの説明書が風に飛ばされてプールの水の上に着水した。
「「あ!」」
「サソリさんとの思い出ー!」
湾内は人目を憚らずに足を踏み切ると幅跳びをするかのようにプールに足から飛び込んだ。
訓練を受けた飛び込みではないため間欠泉のように水柱が上がる。
「こ、コラー!ちゃんとキャップを被りなさいですわー」
******
「という訳ですの!!」
昼下がりのラウンジで御坂と白井に合流した湾内が興奮したように濡れて脆くなった紙を自慢げに渡した。
「うわぁ......見事にびっしゃびしゃね」
渡された紙を指先で潔癖症のように摘みながら御坂が苦笑いを浮かべた。
文字は滲んでいて判読するには骨が折れそうだ。
「それで行きますの?」
「はい!もちろんですわ」
ニコニコとしている湾内にやれやれと言わんばかりに白井は複雑そうな顔をした。
「どうやって誘うんですの?」
「わたくしと水着のモデルになりましょう......ですわ」
「はぁ......それでサソリが来るとは到底思えませんわね」
白井が否定的な言葉を呟いた。
「同感ね。いつも何考えているか分からないけどこればっかりは」
「そ、そうですの!?」
「全く......サソリの事を知っているようで知らないんですのね」
「??」
首を傾げる湾内。
ったく
そんなんでホイホイ付いて来ましたらどれだけ楽になりますの
白井もなかなかサソリとの仲が進展しない事に軽く苛立ちと焦りを持っていた。
「ではどのようにすれば宜しいですの?」
困ったように泡浮が御坂達に質問をした。
「うーん、そこよね......湾内さんと二人っきりだと抵抗あるみたいだし」
湾内と聴くだけで苦手意識があるみたく、少しだけ逃げるからから......
あ!しまった......
「て、抵抗ですの!?サソリさんが!?」
驚愕の事実を知ったかのように口を開けて目を見開き、お嬢様とは到底しないような反応をして少しだけ涙ぐんだ。
「ああぁー違う違う!二人っきりだとサソリも照れるっからって話よ」
濡れた紙をテーブルに置きながら手をブンブンに振り回して慌て否定する御坂。
「そうですの!」
一気にほんわかした表情になる湾内に妙な気遣
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