肉の日メニュー争奪戦・2
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「これでよし、と……」
ビーフストロガノフを仕上げた後、看板代わりの黒板付きイーゼルに『肉の日メニュー 始めました』の文字を白墨で書き込み、支度は万事整った。時刻は12時40分。出来れば昼前には仕上げて出してやりたかったが、こればっかりはどうしようもないからな。看板を出しに表へと出ると、
「待ってたよ提督〜!」
「お肉っ、お肉っ!」
列の先頭に居たのはウチの鎮守府きっての食いしん坊コンビであるニ航戦。その後ろにも20人程が並んで、店が開くのを今か今かと待ち構えていた……全く、暇人共め。
「程々にしとけよお前ら?明石が艤装のフィッティングに苦労してるってぼやいてたからな」
列の人数を確認しつつ、目の前のニ航戦コンビに苦笑いしながら話しかける。艦娘の制服を含めた艤装は、個人のパーソナルデータ……身長や体重等の身体データで細かく調整されている。多少の遊びは作ってあるものの、ニ航戦コンビの場合は美味しい物があると際限なく食べるので、腹回りや尻、太股等々肉が付きやすい所のサイズが変わりやすくて調整が大変だと明石がぼやいていた。『食い過ぎで太った』とストレートに言わなかったのは、同じ女性としてのそれなりの配慮からだと思うが。
「う゛っ、そう言われると辛い……」
「でも提督のスペシャルメニューは逃せないもん!」
まぁ、食べた後に運動してしっかりとカロリーを消費すればいいんだからと強く止めない所が、俺も甘いというか、何というか……。
決して、『あの抱き心地の良い身体が失われるのが少し勿体無いな』とか思った訳ではないからな?うん、きっと。さてと、それはさておき店を開けるとしよう。
「じゃあ今から店を開けっけど、押し合いとかしないように、順番に入ってこいよ!」
俺の一声に歓声が上がる。やれやれ、これが美味しい飯にありつけるという歓声じゃなければどんなに良かったか。腹ペコの男子高校生じゃねぇんだぞお前ら。
「あ〜いい匂〜い」
「今月のメニューも美味しそうだね」
「っていうかメニュー何だろ?」
ワイワイと話をしながらカウンター前に並ぶ艦娘達。ここで注文し、料理を受け取ってから席に着いて食べるというのが肉の日のいつものやり方だ。
「今月は特製ビーフストロガノフだ。付け合わせの米やらパスタ、芋なんかはお代わり自由だからな」
1人1人の注文を聞きつつ、皿に付け合わせを盛り付けてその上からビーフストロガノフを掛けていく。受け取った連中は嬉しそうに、思い思いの席に着いて料理を頬張っていく。ニ航戦コンビの他にも、非番の吹雪型の3人とか睦月型、夕雲型など駆逐艦の姿が多い。ちょうど訓練終わりの時間と重なってこちらにやって来たらしい。軽巡や重巡、空母などの姿もチラホラ見える。
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ