第44話 鬼の一行、海鳴へ向かう
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なり、抜刀斎にあたっていたのだ。
だがそれは当然の結末だ。あの敵味方が入り乱れすぎた状況では連携はおろか援護すら出来ない状態だったのだ。
それだけではなく、抜刀斎にとって味方であるはずのリオンからのまさかの攻撃を受け、戦場は混乱状態だった。もしクマの介入が僅かでも遅れていたら全滅も十分あり得たのだ。しかし法玄にとってソレは言い訳に過ぎず、誰一人殺せなかった事実が不服なのだ
「チッ!幕末で最強だなんだといわれた人斬りがこの様かよ!飛んだビンボーくじじゃねぇか!!」
「………っ!」
「ほ…法玄殿、落ち着いて下さい。今回は想定外の事態が起きただけ。次回からは計画を立てて念入りに準備をしてからでも名誉挽回は遅くはないかと……」
「黙れボンクラがぁっ!!」
「がっ!」
「「「部隊長っ!!」」」
なんとか法玄の怒りを静めようと右目に十字の傷跡を持ち、幹部である犬の男が声をかけるが、法玄は聞く耳を持たず、暴言を吐きながら殴り飛ばす。そんな彼に心配する部下たちに大丈夫だと安心させ、再び法玄に進言する。
「それより法玄殿、あと1時間であの御方がこのアジトに訪れに来ます。急いで出迎えの準備をしなくては……」
「…ッ!」
あの御方に反応したのか法玄は軽く舌打ちし、周りの部下たちに指示を飛ばす
「チッ!分かってる!!急げ野郎どもぉっ!!」
「「「「「おおおおぉっ!!」」」」」
法玄が部下たちを引き連れて抜刀斎を放置し、部屋から出ていった。残っているのは抜刀斎のみだが、法玄と入れ代わるように頭から熊の毛皮を被る青年……クマが姿を現した。
「すまないな緋村殿。法玄殿は今少々気が立っていてな、今回の失態によって今までの鬱憤を貴殿にぶつけてなんとかその怒りを静めようとしているのだ。まぁ先程の犬が言っていたが、今回は数多くの想定外に加えて兵隊が足りなかった。なに、私の部下たちに加えて、ある同盟を結んでいる助っ人共にも協力してもらう。緋村殿も更なる活躍を期待させていただく。」
頭を下げながら謝罪するクマだがその瞳は謝罪ではなくどこまでも抜刀斎を見下す冷酷な眼だった。 そんなクマの眼に気付いている抜刀斎は鋭い眼光で睨み付ける。
「何をぬけぬけと……!貴様らにとっての敵対勢力の戦力を図る為に俺をぶつけた癖によくも………!」
抜刀斎の怒りの言葉を受けても熊の毛皮を被るクマの顔色は変わらず、抜刀斎の胸元を掴み上げ、淡々とある命令を下した。
「いいか?今回の失態はあの御方の温情によって水に流す事になったんだ。またくだらん駄
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