暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第3章:再会、繋がる絆
第86話「負の感情の世界」
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...仕方ない...か。)」

「っ...!優ちゃん、何を...。」

 罅が入っていく障壁を前に、優輝は一呼吸置く。
 その様子を見て、葵は何かを言おうとしたが、憚れる。

「...同調、草祖草野姫...!」

「優ちゃん...まさか...!でも、神職でもない身でそんな事したら...!」

 “このままでは勝てない”と悟った優輝は、草祖草野姫との同調を試みる。
 ...それは、自身の存在を神に委ねるに等しい。

「...大丈夫...。これぐらいで、“志導優輝”は消えない...!」

「っ...!わかった。どれだけ助けになれるかはわからないけど、あたしも頑張るよ。」

 存在を神に近づける事で、さらに神力を開放する。
 そんな事をしてしまえば、“志導優輝”という存在が意味消失してしまう可能性がある。
 それでも、優輝は勝つ可能性を上げるために賭けに出た。

「これで....!」

 御札を媒体とし、神力で“陣”を発生させる。
 それはその空間全域に広がり、優輝達を襲っていた重圧を相殺する。

「....今!今の内に、司の説得を...!」

 影響が強くなったのか、二人称が椿に近くなる。
 だが、今それを気にする者はここにはいない。

『ごめんなさい、ごめんなさい...!私がいたから...私が転生したから...!』

「違います!司は何も悪くありません!司が気に病む事なんて、ありません!」

『嘘...!嘘嘘嘘!私がいなかったら、ジュエルシードは暴走しなかった!私がいなければ、きっともっと何事も上手くいってた!...()()がいなかったら、お父さんもお母さんも不幸にさせずに済んだ!優輝君だって、巻き込まずに済んだ!』

「司...!」

 リニスが説得しようと声を掛けるが、司は頑なにそれを拒絶する。
 そして、拒絶の声を上げる度に“負の感情”の念が衝撃波となって優輝達を襲う。

「でしたら!私は、プレシアは、リインフォースさんはどうなるんですか!」

『っ....!?』

「貴女がいなければ、私たちは決して救われなかった!貴女がいたからこそ、今の私たちはここにいるんですよ...!」

『それ...は....。』

 涙ながらに叫ぶリニスの声が、ついに司に届く。

「それだけではありません!大きな事だけでなく、小さい事まで...貴女はずっと優しさを持っていました...!その優しさに救われた人もいるんです!それを、忘れないでください...!」

『...ぅ....ぁ....。』

 使い魔としてずっと傍にいたからこそ、リニスの言葉は重かった。
 その言葉が司の心に浸透していく。
 だが....。



   ―――あんたなんかに
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