ターン65 鉄砲水と大蛇の深淵
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く投降なさい。ワタクシとて自分の手を汚さずに終わるのならその方が楽ですからねえ」
「それは……」
「それはどうかな?」
いきなり、地面に倒れていた女戦士が割り込んできた。先ほどのデュエルに敗北したためその体は既にケルトの時と同じように光となって消えかかっているが、それでも無理に上体を起こして鋭い目でスノウを睨みつける。その瞳から、まだ闘志は消えていなかった。
「……おやあなた、まだ生きてらしたんですか?嫌ですねえ、往生際の悪いのは。ですがあなたのライフは既に0、もはや消滅も時間の問題でしょう?」
「そんなことはわかっている!少年、受け取れえぇっ!」
そう言って自分が腕に付けていたデュエルディスクを外し、腕の力だけで数メートル離れた僕に向かって投げつける。どうにかキャッチできたものの、その衝撃で手にジンと痺れが走った。
「それを使ってくれていい、だが1つだけ頼みがある、少年。いつか私の仲間と出会うことがあれば、エルナは最後まで戦いの中で堂々と散っていった、そう伝えて欲しい」
エルナ、それがこの女性の名だろう。仲間とは誰なのか、なぜこの場所に来ていたのか、聞きたいことはたくさんあるけれど、その時間がないことはますます勢いを増した光の粒子からも見てわかる。だから僕は何も言わず、ただまっすぐエルナの顔を見て頷くだけにしておいた。それを見て、彼女の顔がふっと綻ぶ。
「ありがとう……」
その言葉を最後に、彼女の姿が完全に消える。残ったのはただ1つ、僕の手に残るデュエルディスクのみ。だけどこの既製品とは微妙に細部の違うどこかシックな感じのデュエルディスク、どっかで前にも見たことがあるような気がする。記憶を辿ってこのデジャヴを解消したい誘惑に駆られるが、今はそれは後回しだろう。差し込みっぱなしだったエルナのデッキを引き抜いて形が崩れないようデッキホルダーに入れ、その代わりに僕のデッキをセットし直す。オートシャッフル機能、ライフ表示機能……よし、動作に問題はない。
「待たせたね、スノウ。第二ラウンドと洒落込もうか……!」
「まったく、今日は面倒な日ですねえ。しかしあなたのデッキは水中に飛び込んだことで使い物にならなくなっているはず、とすれば恐らくは間に合わせの紙束。ワタクシは暗黒界の術師、そんな戦略が通用するなどと勘違いなさらぬよう」
それを聞いて、ようやくこのスノウが妙に強気な理由が分かった。もう壊獣はない、だから僕にも勝てる、つまりはそういうことか。
「「デュエル!」」
「僕のターン!」
なら、今に吠え面かかせてやる。最初に5枚の手札を引く、ただそれだけで感じる。僕のデッキの鼓動を、このカードたちと共に戦う感覚を。
「グレイドル・アリゲーターを守備表示で召喚、さらにカードをセ
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