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Blue Rose
第四十話 ならず者共の暗躍その十一

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「かなりわかりますよね」
「それ役所の知り合いに頼んでな」
「そこから調べてもらって」
「ああ、誰が入って誰が出たかもな」
「調べられたんですか」
「その知り合いは大学の同期なんだよ」
 鍛冶元は笑いながらカクテルをあおり飲みしつつ言った。
「一緒に活動もやってたな」
「盟友ですか」
「平和活動とかやってたさ」
 自称、のだ。
「俺は記者になってな」
「その人は、ですか」
「役所にも組合とかの手は入ってるんだよ」
 公務員は労働組合に関わることが出来ないがだ、何故か役所にもそうした手は及んでいて関わりの深い公務員がいるのだ。
「そのコネで市役所に入っててな」
「その人から入所、出所の個人もですか」
「わかったんだ」
「そこまで、ですか」
「そうさ、出所してから誰が何処に行ったのかもな」
 そうしたこともというのだ。
「わかったさ」
「その入所者、出所者の名簿貰えますか?」
 衝夫は鋭い目になりウイスキー、ジョニ黒をストレートで下品に飲みつつ鍛冶元に頼んだ。
「そこにあの生徒もいるのは間違いないですから」
「ああ、明日渡すな」
「はい」
「それで何かわかるかもな」
「はい、何か」
 衝夫は鋭い目のまま言った。
「気になりますから」
「だからだな」
「見させてもらいます」
「その同期の奴は色々やっててな」
「活動を、ですか」
「ああ、市長とかの弱みも握ってきていてな」
 仕事の中で知り得た情報というものだろうか。
「色々頑張ってるぜ」
「そうですか」
「あの国の施設を長崎市に置こうと努力もしてるしな」
 世襲制の独裁だの核開発だの拉致だので世界的に悪評を立てている国である、日本には何故かこの国を愛して止まない者達がマスコミや知識人、組合にいるのだ。
「闘士さ、今も」
「そういう人尊敬出来ますね」
「頼もしい奴さ、そいつから貰った情報だ」
「それじゃあ」
「使えよ、今いる部署とは違うが俺が頼んだらな」
 そうしたらというのだ。
「その部署の若い女の臨時雇いに手を出して恥ずかしい写真撮ってな」
「写真ばら撒くぞって脅してですね」
「手に入れてくれたんだよ」
「それはいいやり方ですね」
「ああ、そうして貰った情報だ」
「じゃあ見させてもらいます」
 衝夫は鍛冶元に頷いて応えた。
「是非」
「そうな、しかしな」
「しかし?」
「変な話だな」
 鍛冶元は飲みつつこうも言った。
「入所と出所で男女の数が違うってな」
「入った男は出た時は一人少なくて」
「出た女は一人多いってな」
「どういうことでしょうか」
「さてな、同期もそれがわからないって言ってたぜ」
「そうでしょうね」
「世の中おかしなこともあるな」
 鍛冶元もいぶかしむことだった。
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