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Blue Rose
第四十話 ならず者共の暗躍その九
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「気付かれたか」
「彼女のことが」
「そうかも知れないわね」
「気付かれますか」
「そうかも知れないわね」
「そうですか」
「ちょっとあの娘の学校や周りを調べる必要があるかしら」
 腕を組んでだ、副所長は考える顔になって言った。
「そこからね」
「どうして気付かれたか」
「わかってそしてね」
「若しも探っている奴がいたら」
「突き止める必要があるわ」
「それじゃあどうしますか?」
 岡島は今は真剣な顔で副所長に尋ねた。
「これからは」
「そうね、私達が調べるのじゃなくて」
 副所長は岡島の言葉を受けてさらに話した。
「専門家に頼む方がいいかも知れないわね」
「その筋のですか」
「探偵とかね」
「何か推理小説みたいですね」
「そこまでいくかしら」
「そう思いましたけれど」 
 探偵と聞いてだ、岡島はすぐに推理小説を連想したのだ。推理ものといえばやはり探偵だからである。
「違いますか」
「そんな格好いいものじゃないわ」
「そうですか」
「ええ、探偵さんにお願いしても」
「小説とは違いますか」
「相手が悪質なジャーナリストとかだと」
 そうした相手ならというのだ、若し療養所の周りをうろついているものが副所長が感じた様に実際にいてそれがそうした相手ならばだ。
「推理小説みたいに奇麗にはいかないわ」
「相手が相手だからですか」
「そうよ」
 その通りだというのだ。
「マスコミ関係者は最悪な人間が多いから」
「推理小説の犯人はまだ、ですね」
「ましよ」 
 日本のマスコミの中にいる者達よりはというのだ。
「遥かにね、最後は罪を認めるでしょ」
「はい、何だかんだで」
「最後の最後まで俺がやった証拠があるのかとか言わないわね」
「そこまで下劣な奴は」
 岡島は今までの推理小説の記憶を辿ってから副所長に答えた。
「記憶にないですね」
「殺人とかをしてもね」
「そこまで腐った犯人役はいないです」
「そうね、けれどね」
「日本のマスコミは違いますからね」
「推理ものの犯人はまだ人間よ」
 例え罪を犯していてもというのだ。
「けれどマスコミの中にいる悪質な連中はね」
「既に人間じゃなくなっていますか」
「心がね」
 姿形が人間のままでもというのだ。
「人間でなくなっているから」
「人間じゃないんですね」
「餓鬼よ」
 人間でなく、というのだ。
「それになっているのよ」
「生きながら餓鬼道に堕ちた輩ですね」
「探偵は人間を相手にしているのよ」
 あくまでそうだというのだ。
「そこが違うわ」
「餓鬼ですか」
「餓鬼は地獄の亡者より卑しいかも知れないわ」
 常に餓えており貪ろうとしている、しかしそれが出来ず苦しみ続けているのだ。それが餓鬼という存在だ。

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