第四十話 ならず者共の暗躍その七
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「自分が偉いと思っていてね」
「それでやりたい放題だから」
「何でか校長先生も止めないし」
「教頭先生もね」
本来はそうした教師を止める立場の彼等もというのだ、校長や教頭はそうしたことが仕事である筈がだ。
「あいつ止めないのよ」
「生活指導にまでしてね」
「偉そうにさせてね」
「一切止めないのよ」
「おかしなことに」
「とんでもない指導や暴力やセクハラしてるってわかってる筈なのに」
「それでもね」
止めないというのだ、こう優花に話してだ。
先輩達は絵に顔を戻してだ、今度はこんなことを言った。
「私達は剣道部じゃなくてよかったわ」
「放課後もあいつのところにいなくてね」
「あんな奴が顧問だとね」
「美術も楽しめないわよ」
「顧問の先生って大事ですよね」
優花もこのことは素直にわかった。
「やっぱり」
「そうよ、しっかりした先生だとね」
「それだけで部活も楽しいし」
「ちゃんと教えてくれるし」
「部もまとめてくれるから」
「暴力も振るわないからね」
「暴力を振るわないってそれだけで有り難いですね」
優花は優子や友人達から暴力を受けたことはない、言葉の暴力もだ。いじめっ子からそうしたことをされたことはあったがいつも龍馬が守ってくれていた。
「本当にね」
「全くよ、暴力は最低よ」
「振るわれる方はたまったものじゃないわ」
「殴られたり蹴られたり罵られたり」
「そんなの嫌よ」
「いいっていう人いないわよ」
それこそというのだ。
「本当にね」
「そんな奴とは会いたくないわよ」
「絶対にね」
「だから剣道部にも入りたくないわ」
「そうよね」
「はい、部活出来てよかったです」
優花はこのことを心から喜んだ。
「美術部で」
「蓮見さん絵上手だしね」
「彫刻もやったいいわ、もっとね」
「芸術は色々やってこそだからね」
「やっていってね」
「はい、絵もいいですけれど」
それでもとだ、優花も答えた。
「彫刻も他のこともやらせてもらいます」
「そうしていってね」
「絵のほかにも色々するとヒントも得られるから」
「インスピレーションが来るから」
「やっていってね」
「そうしていってね」
「そうさせてもらいます」
笑顔で応えた優花だった、そして実際にだった。
優花は美術部の部活も頑張った、そうして。
充実した日々を続けていた、だがその彼女に対して。
衝夫は調査を進めていた、鍛治元もそうだった。
副所長は岡島にだ、療養所の中でこんなことを言った。仕事の合間に。
「最近何か気配感じない?」
「気配ですか」
「ええ、療養所の外にね」
岡島に怪訝な顔で話した。
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