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マクロスフロンティア【YATAGARASU of the learning wing】
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空に光が疾り、そして爆発の光球が閃く。俺は訳が分からないまま、ただ地面にへたりこんでいた。
「………何だよ、何が起こってるんだよ?」
困惑の声を上げるも未だ10歳にもならぬこの身では知る術がない。
その時、目の前に何かが降り立つ。大きくて赤い、虫みたいな生物。その無機質な眼球が此方を見付けた。
「ヒッ……に、逃げなきゃ……」
必死に体に命令するも足が動かない。這って進んでも上手く体を動かせない。
「……っ!殺され……」
次の瞬間、横から別の何かが割り込んで、赤い虫に体当たりを食らわせた。此方は見覚えがある。新統合軍の最新鋭戦闘機VF-19だ。機体の配色は黒と黄色。この色は……
『翼!早く逃げろ!!』
「親父!?」
『七番ポートから脱出船が出る。それに乗れ!!』
外部スピーカーで叫びつつ親父の乗るVF-19は赤い虫を押さえつけ、レーザー機銃を撃ち込む。
「ぅ……っ!!」
怯える体に鞭打って何とか走り出す。しかしその瞬間、
ドオォォォン
「え?」
振り返ると、正に親父のVF-19が撃墜された所だった。爆風に煽られ数メートル吹き飛ばされる。
「親父……?親父、親父ーーー!!?」
目の前には、黒く塗られた装甲板の欠片だけが遺されていた。
西暦2055年4月
『何かしたければ強くなれ、お前が
宇宙
(
そら
)
で生きるのなら。』
「………親父らしいや。」
親父の遺書と共に託された今時珍しい紙のメモ帳。その一ページ目にはそう記されていた。『強くなれ。』我が家の家訓であり、祖父の代からのバルキリー乗りらしい言葉だ。
「………言われなくても、なるさ。」
メモ帳を閉じ、胸元の黒い金属片を握りしめ、目の前の建物を仰ぎ見る。S.M.Sフロンティア支社。今日からの俺の職場だ。
……何よりも速く、誰よりも遠くへ、俺は飛んで見せる。
そして、西暦2059年、3月。物語が幕を上げる。一人の少年と二人の少女の物語。そしてもう一つ、全身全霊で飛び、歌い、戦う一人の少年と少女の物語。
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