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KANON 終わらない悪夢
37美汐、ゆうくん
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美汐さんは、顔全体が外れて寄生獣みたいになり、血走って本当に血が出てる目だけ残った頭部と、ギザギザの牙が生えた顎らしきパーツで祐一くんを噛んで捕食しようとしていた。
「アンギャーーーー!」
 ハリウッドの特殊メイクの頂点か、流行りの3DCGのモーフィングでも使ったような変化に怯え、鳴き声を発してみるが、もう口の穴とか耳の穴とか色々な所から粘菌美汐さんに侵入され、脳の中を調べられ、美汐の手で脳の中をかき回され、記憶の隅々まで探られた。
「アッタ」
 名雪の術の痕跡を調べだされ、あゆや美汐、舞、佐祐理、栞との記憶も引きずり出される。
「ギャーーーーーーーーッ!」
 思い出してはならない致命的な記憶。あゆが落ちて一旦命も失い、祐一や舞の力で傷を修復したが、地面に落ちた血や流れ出た血を集めて戻す程の術は使えず、何かを犠牲にしてあゆの命を体に戻した記憶。それが現実の祐一にも反映された。

「思い、出した」
 どこかの禁呪詠唱の主人公のようなセリフを言い、名雪の術を破って記憶の一部を取り戻した祐一。
 切断されていた自分の使い魔、天使の人形とのリンクも接続され、失っていた力の一部も取り戻す。
(へえ、そんな方法があったんだ、名雪の術だけは破れなかったのに、中からなら簡単に崩せたんだ)
 名雪の力には決して抗えない天使の人形。その能力や力の全ては名雪から調達して、今まで本体から離れながらも生きて来た養分も名雪から受け取っているので逆らえなかったが、祐一から力の供給を受け、その必要も無くなって来た。
(こりゃあいい、たくあんアタックが効かないなら、名雪にだって刃向かえる、皆殺しだ)
 これで愚かな人類の大半を削除できると思い立つ天使の人形。栞や佐祐理の視点から、醜く汚い人間を見続けてしまったので、もう救いの心や慈悲など持ち合わせていなかった。最大の障壁だった名雪の力にも対抗して、呪いの塊である、あゆの肉体が起動すれば、汚い心を持った人類は勝手に殺し合って死ぬ。
(あはははははっ!)
 上機嫌でバレルロールなどしながら自分の本体、祐一の体を目指して飛ぶ天使の人形。
 まだ子供の名雪によって、本体から抜け出したままにも関わらず、体だけ浄化されて記憶も消され、リンクも切断されてしまった哀れな存在。
 そうなるのを知って切ったなら、名雪が最大の敵なのだが、善意によって行われた儀式は、祐一自身を救い苦しい記憶から解き放っていた。

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